株式会社ファイブスターズ アカデミー
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世間には、血液型は性格と関係があると思っている人が少なからずいるようですが、これは完全なる迷信です。
こんな馬鹿げたエセ科学を信じているのは、世界広しといえども日本だけです。
科学警察研究所の山本茂によれば、ヨーロッパではA型の中にもA1型、A2型の2種類があると考えられているそうです。
すると当然、AB型にもA1B型、A2B型の2種類があり、合計すると血液型は6種類あることになります。
血液型と性格に相関関係があるというのなら、この辺もキチンと説明してほしいものです。
そもそも血液型とは一体何でしょう。
血液型研究の歴史は意外にも新しく、つい最近までヒツジの血液を人間に輸血したりしていました。
「ヒトの輸血はヒトの血液に限るべき」と、イギリスの生理学者ジェームズ・ブランデルが提唱したのは1828年のこと。
この年、日本ではシーボルトが日本の地図を持ち出そうとした「シーボルト事件」が起こっています。
現在、血液型の分類は400種類以上もありますが、ここでは最初に発見された「ABO式」について解説しましょう。
オーストリアの病理学者カール・ランドシュタイナーがABO式血液型を発見したのは1901年。
日露戦争が始まったのが1904年ですから、血液型研究がいかに新しい研究かわかりますよね。
ABO式とは、赤血球の表面抗原のタイプのことを言います。
血液型の起源は、30億年前に生物に寄生した細菌の一種で、これが細胞の表面抗原となり生き残ったと考えられています。
このような抗原は、動物だけでなく植物や藻類にも見られます。
ヒトの場合は、血液以外に腎臓、肝臓、心臓、肺などの細胞にも存在しますが、不思議なことに脳細胞には存在しません。
脳の血管には「血液脳関門」というものがあって、血液が運んできたものの中でもブドウ糖などの特定物質しか脳に届かない仕組みになっています。
血液が直接脳に触れることは絶対にないのです。
だから、脳は異なる血液型を輸血されても拒否反応を起こしません。
脳は血液型とは関係ないのです。
もし、血液型が性格に関係しているのなら、性格は脳ではなく別の臓器によって決まることになってしまいます。
さて、この「表面抗原」ですが、厳密に言うと「糖鎖」と言って、「糖」がいくつか鎖のように繋がった形になっています。
まず、O型の糖鎖から見ていきましょう。
「N-アセチルゴルコサミン」に「ガラクトース」が繋がり、さらにそれに「フコース」が繋がります。
これが基本型で、「H型」とも言われています。
Hは Human の頭文字で、これが基本形であることを示しています。
O型以外の人の場合は、この基本のH型を土台にしてさらに様々な糖が繋がります。
「N-アセチルガラクトサミン」が繋がるとA型、「ガラクトース」が繋がるとB型、両方繋がるとAB型です。
H型はA型、B型、AB型に共通する形であることが、O型の人の血液が他の血液型の人にも輸血可能となる理由です。
さて、血液型は性格とは無関係ですが、病気と関係があることはあまり知られていません。
中でも顕著なのは、がんの罹患率です。
A型の場合、唾液腺がんの罹患率はO型の1.64倍。
どうやらこれは、がん細胞の表面抗原の糖鎖に関係あるようです。
A型の人のがん細胞の表面には、必ずA型の糖鎖が現れます。
ところが、O型の人の場合、稀にA型の糖鎖が現れることがあります。
すると、免疫細胞はこれを異物と見なし、がん細胞への攻撃を開始します。
これが、O型が唾液腺がんに罹りにくい理由かもしれません。
でも、この説だけでは、膵臓がんではB型がO型の1.72倍であることの説明がつきませんし、部位によってはO型の方が罹患率が高いがんもあります。
どうやら、もっと複雑なメカニズムが働いているようです。
がんはさておき、別の病気を見てみましょう。
日本住血吸虫病という感染症に注目したのは、動物行動学者の竹内久美子。
この虫は川や湖に生息していて、水辺で遊んだりしている時に感染します。
症状としては肝臓やひ臓が肥大するのですが、A型はO型よりも重症化しやすいことが知られています。
そのためA型の人は己の身を守ろうとして行動が慎重になり、抵抗力のあるO型は反対に社交的になるのではないかというのが竹内の仮説です。
魅力的な説ではありますが、生理学的に証明できないところが難点。
そんな中マラリアについては、そのメカニズムが解明されつつあります。
マラリアも日本住血吸虫病と同様、O型は劇症化しにくく、A型は重症化しやすいことが知られています。
その理由が、スウェーデンのカロリンスカ研究所のワルグレン博士らによって明らかにされました。
マラリアに感染した赤血球は血管に詰まりやすくなるのですが、これは熱帯熱マラリア原虫が分泌する「RIFIN」というタンパク質が赤血球の表面に結合すると、接着剤のような働きをして赤血球同士が凝縮しやすくなるためです。
ワルグレン博士らは、赤血球の表面にA型抗原があると、RIFINが結合しやすくなることを突き止めました。
これが、A型が重症化しやすい理由です。
これからはマラリアだけでなく、様々な病気と血液型の関係が明らかにされていくことでしょう。
期待したいですね。
でも、血液型が性格に影響を及ばすことは絶対ないと本当に言い切れるのでしょうか。
実は、完全には否定できないと考える科学者も、少数ながら存在しています。
でも、彼らが注目するのは赤血球の表面抗原のABO式ではなく、白血球の表面抗原の「HLA」の方です。
HLAとは、ヒトの「組織適合性抗原」のことで、骨髄バンクへの登録を呼びかけるCMなどで耳にしたことがある人もいることでしょう。
HLAの遺伝子座はA、B、C、DP、DQ、DRと6つもあり、その組合せは単純計算で800億通り。
これならABO式のたったの4通りよりも、説得力のある説明ができそうですよね。
誰か、真面目に取り組んでくれる科学者は現れないものでしょうか。
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