株式会社ファイブスターズ アカデミー
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今回は、やる気を出すためにはどうしたらいいかという話です。
本題に入る前に、自分の意思で脳の活動をコントロールできることを説明しておく必要があります。
かつて、リラックスした時に現れるα波に関する研究で注目された「バイオフィードバック」という現象があります。
被験者の頭に脳波計をつけて、リラックスするクラシック音楽や小川のせせらぎなどを聞かせます。
しばらくしてα波が現れたら、小さな赤いランプを点灯して被験者にα波が出ていることを知らせます。
これをくり返しているうちに、やがて赤いランプを見ただけでα波が出現するようになります。
これが「バイオフィードバック」です。
なんだか「パブロフの犬」に似てますよね。
最近は、心拍数に関する研究でもこの効果が確認されています。
モニターを用意して、そこに心拍数をリアルタイムで表示します。
次に、心の中で「遅くなれ」とか「速くなれ」と念じることを繰り返すと、ある程度まで心拍数をコントロールできるようになるそうです。
心筋は不随意筋です。
それを自分の意思でコントロールできるなんて凄いですよね。
コツさえ覚えてしまえば、バイオフィードバックの助けがなくても、念じるだけで血圧などもコントロールできるようになります。
ヨガはこの応用と考えられます。
心拍数や血圧がコントロールできるのなら、脳の活動だってできるのではないかと考えるのは自然の流れ。
ローリエット脳研究所のボドゥルカ博士は、感情を司る部位である「扁桃体」に関して、2011年と2013年に面白い研究をしています。
まず、fMRIで扁桃体の活動レベルを検出し、モニターに棒グラフで表示します。
被験者はそのモニターの前で、過去の楽しかった経験を思い出すよう指示されます。
扁桃体は感情を司る部位ですので、活動が活発になると棒グラフは上に伸びます。
これを40分ほど繰り返していると、扁桃体の活動を自由自在にコントロールできるようになるというのです。
つまり、自分の意思で「楽しい」という感情を生み出せるようになるというわけです。
「楽しい」感情が自分の意思で作り出せるなら、「やる気」だってできるはず。
2014年の『ニューロイメージ』誌に掲載された、スタンフォード大学のナットソン博士らの論文を紹介しましょう。
集められたのは31人の若者たち。
「やる気」を生み出す部位は「側坐核」ですが、先ほどと同様に活動レベルを棒グラフでモニターに表示します。
そして、「グラフの数値を高めてほしい」と指示されます。
根気よくやれば可能だと言われて一生懸命頑張っていると、本当にグラフが伸び始めたではありませんか。
被験者はこう振り返ります。
「明るく前向きな気分で、やる気がみなぎりました」
なんと、念力によってやる気が生まれたのです。
変な話ですが、「やる気を出すためにやる気を使った」ということになります。
まるで禅問答みたいですね。
でも、一体どんな風に念力を使ったというのでしょう。
彼らの答えはシンプルなものでした。
「楽しいことをイメージしました」
なるほど。
脳は楽しいことを求めているのです。
言い換えると、やる気というのは楽しいことを求める過程で生まれるものなのです。
あなたが部下に「もっとやる気を出せ」と発破をかけるとき、部下にどんな楽しいことをイメージさせていますか。
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