株式会社ファイブスターズ アカデミー
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今回のコロナショックを「戦争」と表現する人がいますが、実際に「戦争」との類似点が驚くほど多いことも事実です。
まず、「不要不急」。
この言葉の反対語は何だろうとネットで調べてみたら、反対語はありませんでした。
強いて言えば「必要火急」とか「重要緊急」になるようですが、なぜ反対語がないのかというと、そもそも「不要不急」というのは古くからある四字熟語ではなく、太平洋戦争中に陸軍が使った「不要不急線」が語源になっていると思われるからだそうです。
ここで言う「線」とは「線路」のことで、B-29によって爆撃されても大勢に影響はないと陸軍が判断した、重要ではない鉄道路線を指します。
つまり「不要不急」とは、戦争に勝つためには切り捨ててもよいもののことを言うのです。
仕事のための外出だって、突き詰めれば会社や個人のためであり、お国のためではないので「不要不急」に当たります。
すべては「お国のため」が基準なのです。
緊急事態宣言の発令が遅れたのは、営業を自粛する店や企業への補償問題がネックになっているのだろうと思っていました。
ところが経済再生担当大臣は、自粛した店や企業に金銭的な補償をしている国はないと強い口調で断言しました。
これではまるで「欲しがりません、勝つまでは」の精神ではありませんか。
ほら、段々戦争と似てきたでしょ。
「経済再生担当大臣」の発言としては違和感を覚えざるを得ませんでしたが、大本営発表と決定的に違っていたのは、その直後のニュースで皮肉にも欧米各国の手厚い補償内容が報じられたことでした。
一体どちらがフェイクニュースだったのでしょうか。
この「自粛」に関しては、その裏に巧妙なカラクリが潜んでいることを、ライターの平河エリが「現代ビジネス」のサイトで指摘しました。
「自粛」というのは、あくまで自発的な行動であり、決して命令に基づく強制的なものではありません。
つまり、自らの判断で意思決定した上での行動なのですが、実は太平洋戦争における特攻隊の攻撃も上官の命令ではなく、あくまで自ら志願した形をとっていたというのです。
なるほど、「自粛」は特攻隊と同じで自ら志願した行動なので、国が補償しなければならない理由はどこにもありません。
大臣の発言にはそういう裏があったのですね。
気がつきませんでした。
中には、自粛せずに営業している店があるとか、公園に人が集まっているとわざわざ行政に通報した人もいましたが、戦時中の「赤狩り」の密告というのも多分こんな感じで行われたのでしょう。
マスメディアは「自粛警察」と表現しましたが、この言葉は年配の人にとって「特高警察」を彷彿とさせました。
中には「自粛翼賛」と揶揄した評論家も現れました。
「自粛」だけとってみても、戦時中との共通点が結構あるでしょ。
そんな「お国ファースト」の政府とは正反対に、「住民ファースト」の立場をとったのが地方自治体の知事たちでした。
東京都が自粛に対して協力金を出すと主張したため、政府も「お国のため」に無償でも我慢しろとは言えなくなってしまったのは、財務省にとって大きな誤算でした。
ところで、国家が「お国のため」に守ろうとしたものは、その時代によってそれぞれ異なります。
昭和の時代は「帝国陸軍の名誉」でした。
日本国民は陸軍の名誉を守るために、自らの命を犠牲にしなければならなかったのです。
それを端的に示したのが、あの有名な「一億総玉砕」というスローガンです。
今更戦争を止められない陸軍にとって、軍の名誉を守るためならば全ての日本国民が犠牲になっても構わないという狂信的な思想です。
次の平成の時代に、「お国のため」を掲げた組織は日銀でした。
バブルの崩壊により経済が著しく停滞しているのに、日銀はバブルの再発を恐れて度を越した金融引締めを継続します。
その結果、景気は奈落の底へと転落するわけですが、それでも日銀は「インフレ抑制」を大義名分に金融の量的緩和を頑なに拒否しました。
インフレの予兆すらないのに、徹底した「インフレ抑制」策を続けた結果、今度は深刻なデフレを招いてしまいます。
そのため、毎年1万人以上の人が失業などの経済的理由により、自殺に追い込まれる事態に陥りました。
「インフレ抑制」という大義名分のために、最終的に数万人が「玉砕」させられてしまったわけですが、この日銀の失敗を冷静に観察していたのが各国の中央銀行でした。
リーマンショックが起こると、彼らはすぐに日銀とは正反対の方向に舵を切ります。
貨幣供給量を増やすため、自国通貨を大量に印刷したのです。
これが功を奏しました。
日銀の失敗は世界を救ったのです。
しかし日銀は、それでもなお慎重姿勢を崩さず、他国ほど通貨供給量を増やさなかったため、当然のことながら日本は異常なまでの円高に見舞われ、さらに犠牲者を増やす結果となりました。
円高は日本の産業構造が原因だなどと、トンチンカンな主張をしたポンコツ経済学者もいましたが、黒田バズーカ一発で円高が解消されるや否や、一斉にどこかに姿をくらましてしまいます。
御用学者というのは、いつの時代も逃げ足だけは速いものです。
不思議なことに、ここでも太平洋戦争と同様、経済敗戦の責任は誰一人問われませんでした。
では、令和の時代に戦犯となる可能性があるのは誰でしょう。
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