株式会社ファイブスターズ アカデミー
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「数年後には半沢直樹はいなくなります」
国立情報学研究所教授の新井紀子が講演でこう発言すると、爆笑が巻き起こりました。
しかし、その直後にイギリスのオックスフォード大学の研究チームが、あの有名な「将来なくなる仕事リスト」を発表します。
今後10~20年のうちに、702種に分類したアメリカの職業のうち約半数が消滅し、全雇用者の47%が失業する恐れがあると結論づけた衝撃の論文の中で、「銀行の融資担当」という仕事はなくなる可能性ランキング17位。
これは2013年の出来事ですが、その3年後には日本でもローンの与信審査を完全に自動化した銀行が現れます。
半沢直樹の仕事がなくなってしまうことが、現実に証明されてしまったわけです。
新井は2010年に、数学的思考法に関するビジネスマン向け入門書『コンピューターが仕事を奪う』という本を上梓しました。
しかし当時は、近い将来コンピューターが人間の代わりに、頭脳労働をこなす時代が来るなどと考えていたのはAIの研究者だけでした。
東京駅前の大型書店で、この本を探していた新井は慄然とします。
ビジネス書の棚をいくら探しても見つけられなかったこの本は、なんとSFのコーナーに置かれていたのです。
今からたった10年前の話です。
その頃、AIというのはSFの世界のお伽話でしかなかったのです。
この経験は、新井にある決意を促しました。
こうして、「ロボットを東大に合格させるプロジェクト」は、翌2011年にスタートしたのでした。
この年、アメリカで画期的な出来事が起こります。
IBM社が「ワトソン」という名のAIを開発したのです。
ワトソンはアメリカの人気クイズ番組に出場し、見事2人のチャンピオンを打ち破り大きな話題を集めます。
その後、東大の医科学研究所に導入され、白血病診断の支援など八面六臂の大活躍。
何でも、ワトソンの開発に投入された資金は、日本円にして1,000億円以上とか。
かたや、「東ロボプロジェクト」についた予算は、年間たったの3,000万円。
100人以上の技術者がボランティアとして参加することで、ようやくプロジェクトは前に進み出します。
その後、資金難というハンデに苦しみながらも着々と成果を積み重ねた東ロボ君は、現在では学部や学科によってはMARCH(明治、青山学院、立教、中央、法政大学)や関関同立(関西、関西学院、同志社、立命館大学)に合格するレベルに達しているそうです。
数学だけなら、東大医学部(理Ⅲ)に合格しても不思議ではないとのこと。
プロジェクトの大健闘に拍手を送りたくなりますよね。
この調子で研究が進めば、東大合格も時間の問題のような気がします。
ところが、新井は絶対に無理だと断言します。
なぜでしょう?
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