株式会社ファイブスターズ アカデミー
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「とにかく残業を減らせ!」
今日もトップのお達しがフロアーに響き渡ります。
そんなことは百も承知。
期日までに仕事が仕上がらなくてもいいのなら、残業はいくらでも減らすことができます。
問題は、仕事量がちっとも減らないのに、労働時間だけを減らす方法がわからないことです。
他の会社の成功事例などいくら聞かされたところで、現場の反応はいつも同じ。
「うちでは無理だ」
最後は、適当にお茶を濁した数字を作って終了となります。
上から下まで掛け声ばかりで、誰も本気で取り組まないのが「働き方改革」。
こんなことが、日本中の会社で行われているのです。
なぜ本気になれないのでしょうか。
答えはカンタン。
「働き方改革」をしなければならない理由がよくわからないからです。
あなたは答えられますか?
「ワーク・ライフ・バランス」を実現するためですか?
それとも、「ブラック企業」という評判が立ってしまうと、新卒採用に支障をきたすからですか?
どちらも違います。
なぜ「働き方改革」をしなければならないかと言うと、企業にとって最も大切な「資産」を守るためです。
今回紹介するのは、その大切な資産を守るために、トップが必死になって取り組んだお話です。
SE(システム・エンジニア)と言えば、長時間労働の代表とも言うべき職種のひとつ。
まして、社員のほとんどがクライアント企業に派遣されているITベンダーともなると、トップの方針だけで社員の残業を減らすのは至難の業です。
独立系システム・インテグレーターのCSKと住商情報システムが合併して、売上高3,000億円を超えるSCSK株式会社が誕生したのは2011年。
社長に就任した中井戸信英は、働き方改革の目標として2つの数字を掲げました。
それは、月の平均残業時間20時間と、有給休暇20日の100%取得。
1カ月で20時間ということは、1日あたりの残業は1時間という計算になります。
当時、ITベンダーのSEの働き方と言えば、徹夜や休日出勤は当たり前。
中井戸の掲げた目標を真面目に受け止めた社員は皆無でした。
ところが、この現実離れした目標は、わずか数年後にほぼ達成されてしまいます。
後の日経新聞社の「人を活かす会社」調査で、SCSKは堂々1位に輝くほどのホワイト企業に生まれ変わったのでした。
一体どんなことをやったのでしょう?
最初のうちはご多分に漏れず、笛吹けど踊らずで社長の掛け声は空回りするばかりだったと言います。
社長の並々ならぬ覚悟のほどを社員が知ったのは、2014年のことでした。
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