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5☆s 講師ブログ

新年ご挨拶

明けましておめでとうございます。
とても難しい年が始まりました。
今年はまさに、「身構える」べき年です。

過去にオリンピックを開催した都市は、閉幕後は例外なく深刻な景気後退に見舞われています。
加えて日本の場合は、昨年の消費税率アップがボディーブローのように効いています。
働き方改革による労働時間の減少は、そのままサラリーマンの手取り額の減少に直結し、消費意欲の後退はあの悪夢のようなデフレの再来を予感させます。
案の定、昨年末に発表された10月の経済指標はすべてマイナス。
アベノミクスにおける唯一の成功と言える異次元の金融緩和にしても、日銀はなぜか完全にやる気を失くしています。

事の深刻さに気づいた政府は13兆円規模の財政出動を決めましたが、新聞各紙の評価は「そんなに必要なのか」と冷ややかなものばかりでした。
この辺りから、財務省がマスメディアに対してどのようなレクを行ったかが窺い知れようというものです。

しかも、政府が今後10年間は消費税率を据え置くと明言しているのに、マスメディアは更なる引き上げの可能性を大合唱。
経済団体のトップは、消費税率アップによって景気はよくなると宣い、野党の党首は金利を上げれば景気がよくなると奇天烈な説を披露します。
彼らは一体どこで、こんな「プードゥー経済学」を学んだのでしょう。
そんな曲学阿世を垂れ流し、桜の話でフィーバーしているオールドメディアに、存続の危機が迫っていることは案外知られていません。

国外に目を向けてみましょう。
事態はもっと深刻です。
迷走を続けたブレグジットはついに決着の時を迎えます。
EUの中で唯一、為替政策の自由を持つという特権的地位を捨ててまで、日本円にして10兆円といわれる経済損失をあえて選択したイギリス国民の決断は、本当にその覚悟があってのことだったのでしょうか。

一方、マルク高が解消できたおかげで、EU内で一人勝ち状態を謳歌していたドイツで、設備投資の極端な落ち込みという不気味な兆候が見られます。
これまでドイツ経済を牽引してきたのは、ディーゼル・エンジンを売りにした自動車産業。
排ガス規制が一層厳格化される中で、これが終わりの始まりでなければいいのですが・・・。
また、暴発する可能性は低いとしても、中東のホルムズ海峡からも目が離せません。

でも、2020年代における超弩級の大地震は、ヨーロッパでも中東でもなく、東アジアで起きるだろうと私は考えています。
震源地はもちろん中国です。
国営企業のデフォルトなどは、もはや「お家芸」の域にあるのでさほど心配することはないにしても、厄介なのは米中間の対立です。
トランプは、貿易における企業間競争の公平性という観点から、共産党の一党独裁体制にメスを入れようとしていますが、アメリカ議会は全く別の角度から切り込みました。
それは「人権」です。

中国にしてみれば、貿易の話は所詮トランプが仕掛けたディール・ゲームですから、妥協点を見出すことは不可能ではありません。
しかし、人権の議論は共産党の一党独裁を根本から否定し、民主国家への体制転換を強いるものであり、絶対に飲めない話です。

そもそも、中国の驚異的な経済発展は、何がきっかけでもたらされたものだったのでしょうか。
それは、中国のポテンシャルを見抜いたウォール街が、まずキッシンジャーを動かし、次にニクソンを動かし、最後に金融による世界制覇を「グローバリズム」という麗しい文句に置き換えて、巨額の投資資金を投入したことが始まりでした。

そのことをモンロー主義者のトランプが快く思わないのは当然ですが、ウォール街から莫大なサポートを受けているはずの民主党議員まで怒らせてしまったのは、中国にとって全くの想定外。
習近平は、一帯一路構想によって虎の尾を踏んでしまったわけです。
アメリカという国は、アメリカを超えようとする国を絶対許さないのです。
そう言えば、かつて“ジャパン・アズ・ナンバー・ワン”という謳い文句に浮かれてしまい、きついお仕置きを受けた国もありましたよね。

今度は、東アジア全体を俯瞰で見てみましょう。
中国という巨大戦艦と運命共同体の関係にあるのが北朝鮮、自らの意思でその引力圏に接近しようとしているのが韓国。
韓国の本音を知ろうとするなら、文在寅ではなく文正仁の発言の方に注目すべきです。

一方、反対にその引力圏から逃れようと必死で抗っているのが香港と台湾であり、そのバックにアメリカの影があることは周知の事実。
追い詰められた巨大戦艦は、国内の求心力を高めるための最終手段として、南沙諸島周辺での軍事的緊張を作り出すかもしれません。
その時、もし韓国がレッドチーム入りしていれば、アチソン・ラインは日本列島まで南下することになり、私たちは否が応でも、今まで見て見ぬふりをしてきた9条の問題に直面させられます。

もっと俯瞰して、世界全体を見渡してみましょう。
季節はずれの株式市場の熱狂に、目を眩まされている場合ではありません。
これは、世界中に溢れかえった過剰流動性が取りあえず株式市場という出口を求めて集中しただけのこと。
12年前に殺到した出口はサブプライムローンでした。
その11年前はアジア通貨危機。
これはもしかして、およそ10年周期で訪れる危機のデジャヴなのかも・・・。

でも、今までと決定的に違うのは、ショック・アブ・ソーバーの役目を果たしていた中産階級が、この23年間で消滅してしまったことです。
もはや是正不可能となった人々の格差は、今後ますます拡大していくことでしょう。
世界はごく少数の富裕層と、圧倒的多数の貧しい人々とに分断されてしまいました。
しかも、この傾向は資本主義国だけでなく、社会主義を標榜する国々にも見られます。

松尾匡は、これからの政治は右と左の対立ではなく、上と下との対立になると喝破しました。
世界各国で極右と極左が急激に台頭していますが、とにかく不気味なのは、どちらの主張も驚くほど似通っていることです。
現在起こっている世界の混沌は、東アジアの大地震で収束するような代物ではなく、もしかしたら近い将来に、上と下との間の境界断層で起きる、世界規模の地殻変動の前触れなのかもしれません。

しかし、非力な私にできる事はひとつだけ。

ひたすらブログを書き続けることです。
今日まで、日本で最もクオリティーの高いブログを目指して書いてきました。
道は遥かに遠いけれど、このブログによって、知的好奇心をくすぐられる人や、マネジメントのヒントを得られる人が一人でも生まれることを願って、今年もしつこく書き続けていこうと思っています。
私にとってはそのことの方が、世界を変えることより遥かに重要です。

私の理想とするブログは、喉の奥に引っかかった魚の小骨のように、いつまでも気にかかる存在になることです。
すぐに忘れられてしまう「いいね」の評価に、一体何の意味があるでしょう。
決してすっきりしないけれど、なんとなく後味が悪いけれど、でも心の奥深くに「澱」のように静かに沈殿していくような、そんな作品を目指して今年も悪戦苦闘したいと思います。

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