株式会社ファイブスターズ アカデミー
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海上自衛隊の「人格教育」はわかりましたが、日常の指導はどのように行われているのでしょうか。
体育会系らしく、スパルタ式なのでしょうか。
自衛隊員が共有すべきヴィジョンや行動指針は、自衛隊法に定める「服務の宣誓」に明記されています。
「私は、我が国の平和と独立を守る自衛隊の使命を自覚し」から始まり、途中「事に臨んでは危険を顧みず」という文言を挟み、最後は「もって国民の負託にこたえることを誓います」で締めくくられています。
いかにも自衛隊らしい、実に勇ましい内容ですよね。
ところが、この宣誓の中に、軍事組織としては少し違和感のある文言が入っています。
それは、「人格を尊重し」という部分です。
翻って会社組織を見てみましょう。
ヴィジョンや行動指針に、部下の「人格の尊重」を謳っている会社など見たことがありません。
時として、命懸けの任務をこなさなければならない軍事組織でも、「人格の尊重」を常に意識しているというのに、安全なはずの民間企業において「人格の尊重」意識が低いためにパワハラが横行したり、最悪の場合自ら命を断つ社員まで出ているのは一体どういうことでしょう。
「人格の尊重」は、どんな組織であっても、組織存続の根幹に関わる重要事項であることを、私たちはもっと自覚すべきです。
とは言え、もちろん隊員の中にも、とんでもなく物覚えの悪い人間はいます。
海上自衛隊ではこのような部下に対して、その人格を尊重しながら、どのように指導しているのでしょうか。
元海上自衛隊海将の伊藤俊幸は、ある時潜水艦の防火訓練がどうしてもうまくできない士官を見かけます。
直属の上司は「何度言ったらわかるんだ!」、「どうしてお前だけできないんだ!」、と怒鳴りつけるばかり。
やっぱり、自衛隊にもパワハラ上司はいるのですね。
見かねた伊藤は、自らマンツーマンで実演することで、身体で対応方法を教えこみます。
まさに、山本五十六の「やってみせ」の精神です。
この時、伊藤の本当の狙いは、できない士官をできるようにすることではありませんでした。
その様子を見ていた上司は、自らの指導方法に問題があったことに気づきます。
つまり、直属の上司に対しても、「やってみせ」ている自分の後ろ姿を見せることで、暗黙のうちに指導を行っていたというわけです。
でも、この士官はまだいい方でした。
艦長時代に、操艦の技術がなかなか上達しない水雷長がいました。
水雷長とは、企業でいうと新任課長にあたるそうです。
様々な方法で指導を試みますが、全く効果があがりません。
そこで伊藤が取った最後の手段は、「交換日記」でした。
その日に艦長から教わったことを、大学ノートの左側に書かせるのです。
そして、艦長はそれを赤ペンで添削し、補足すべき点があればノートの右側に書き込みます。
しばらくは、艦長が書き込む量の方が圧倒的に多かったそうです。
この指導を通じて、伊藤はある重要な事実に気がつきます。
それは、人は口頭で指導を受ける時、取りあえず「ハイ、ハイ」と返事はするのですが、その内容をほとんど理解していないということです。
そう言えばある企業の管理職で、部下に指示を出した後に、必ず「じゃ、復唱してみて」と投げかけて部下の理解度を確認している人がいました。
また、部下に必ずメモをとらせて、最後にそのメモを見せてもらって、漏れがないかどうかチェックするという人もいました。
口頭で指示をした時は、何らかの方法で部下の理解度を確認することが必要なのですね。
さて、伊藤艦長の話に戻りましょう。
日々の指導は、操艦のやり方から士官としての心構えまで、極めて広範囲に及ぶものでしたが、これを1年間続けたことによって、水雷長は目覚ましい成長を遂げることができました。
また、意外な副次効果もありました。
その日記は士官室の壁にぶら下げておいたのですが、他の士官たちもそれを盗み見ていました。
結果、士官全員がどんどん成長していったのです。
しかし、最大のサプライズが訪れたのは、その4年後のことでした。
隊指令として横須賀に赴任した伊藤は、ひとりの極めて優秀な若手の水雷長と出会います。
その仕事ぶりに感心し、「君は誰か目標にする先輩とかいるの?」と尋ねた時です。
彼があげた名前は、なんと交換日記で指導したあの水雷長でした。
なんとも、夢とロマンに溢れた話ではありませんか。
人間には計り知れない潜在能力があるのですね。
匙を投げる前に、やるべき事は山ほどあるはずです。
仕事覚えの悪い部下というのは、能力がないのではなく、能力がまだ開発されていないだけなのです。
「あの部下は見込みがない」と、お嘆きのあなた!
交換日記はもうやってみましたか。
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