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5☆s 講師ブログ

コンプライアンス

さて、問題です。
新商品の発売直前になって、使用している部品の一部に、不具合が発生する可能性があることが判明しました。
担当部署からの報告は以下の通りです。

①今から設計変更すると、発売時期を延期しなければならない
②設計変更にかかるコストは相当な額に上る
③不具合による事故は軽微なものだが、高い確率で発生することが予想される
④もし、損害賠償請求が起こったとしても、請求額は少額なため、その総額は設計変更によるコスト増分と比べるとかなり小さい

さあ、あなたならどうするか、以下の3つの中から選択してください。

A.コスト面を考慮して、設計変更せずにこのまま発売する
B.損害賠償額は小さくても、メディアで大きく取り上げられるとブランドイメージが傷つき、会社の損失は損害賠償の総額より大きくなる可能性があるため、設計変更が完了するまで発売しない
C.事故の発生が予想される部品を使用している商品は発売してはならない

これは、コンサルタントの秋山進が提起した問題ですが、あなたはA、B、Cのうちどれを選択しますか?
今回は、「コンプライアンス」というテーマですので、Aはちょっと選択しづらいかと思いますが、かつて外資系金融機関の中には、そのことで得られる利益額と、問題が発覚した時に課せられる罰金額とを比較し、どちらが大きいかで意思決定しているところもあったそうです。

さて、BかCかで意見は分かれそうですよね。
どちらも結論は「発売延期」ですので、一見すると同じ考えのように思えますが、基本的な判断基準がそれぞれ全く違うことにお気づきですか?

Bの判断基準は「損得基準」です。
一方、Cの判断基準は「善悪基準」です。

全然違いますよね。
でも、あなたがどちらを選択したかということが問題なのではありません。
秋山の問いかけは、もっとシンプルです。

「会社の答えはどれですか?」
「その答えは、あなたの隣のマネージャーと同じですか?」

多くの会社は「品質第一」を経営理念に掲げています。
しかしその一方で、株式会社ならば「株主への貢献」も極めて重要な使命です。
秋山の問いかけは、そのバランス論について「社内で徹底できているか」ということなのです。
要するに、会社の基本的な判断基準について、全マネージャーが共有できているかということです。

秋山によれば、優れた会社ならば、全マネージャーが口を揃えて「うちは○です。その根拠は・・・」と答えるそうです。
会社の判断基準軸が明確化になっている証拠です。
でも現実は、会社の判断基準が統一できていないのに、マスメディアで取り上げられたとたんに、慌ててトップがしたり顔で正論を語り出すケースも珍しくありません。
これでは、まるで「後出しジャンケン」ですよね。

もしかしたらコンプライアンスというのは、会社の「イデオロギー」を測るリトマス試験紙のようなものなのかもしれません。
そうだとすると、不祥事防止のために会社が最初にやらなければならないことは、これしかありません。
トップが、全マネージャーと全社員に対して我が社の「判断基準」を明確に提示して、その「イデオロギー」の徹底を図ることです。

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