株式会社ファイブスターズ アカデミー
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私たち中高年世代の中には、AIの能力を過小評価している人が多いような気がしてなりません。
酒の席で決まって聞かれるのは「所詮は機械だから」とか、「人間だったらこういうことができるのに」という発言です。
このように、AIを甘く見ている人たちに共通する点が2つあります。
1つ目は、事務職などデスクワークが中心のホワイトカラーか、ナレッジワーカー(弁護士や税理士といった知識により付加価値を生み出す専門職)であること。
2つ目は、AIに関する本を一冊も読んだことがないことです。
メーカーの製造現場を知っている人ならば、ロボットの進化を目の当たりにしていますので、それにAIが加わったときの将来像をイメージするのはそれほど難しくありません。
でも、知的生産に従事している人は、AIが複雑なデスクワークや知的労働をこなすことなどできないだろうと高をくくっています。
確かに、弁護士や税理士の仕事をAIが肩代わりしている姿を想像するのは難しいかもしれません。
そんなとき、鈴木貴博が『AI失業前夜』という、実にわかりやすい入門書を出してくれました。
鈴木によれば、AIの研究は現在思うようには進んでいないそうです。
理由は、最先端の超巨大なハードウェアが不足しているからです。
「2位じゃダメなんですか!」で有名になった日本のスーパーコンピューター『京』は、現在順位を10位にまで落としていますが、これは逆の見方をすると、人間の脳を上回る処理能力のハードウェアが、世界にまだ10台しかないことを意味します。
たった10台しかない貴重なスパコンは、当然のことながら研究者の間で奪い合いになりますが、現在は最も高い収益性が期待できる産業分野の研究に利用されています。
その分野は2つあります。
車の自動運転と、フィンテックつまり金融分野における技術革新です。
完全な無人運転ができる水準を「レベル5」と言いますが、ルノー・日産連合は2022年に世界初のレベル5の車の市販を目指しています。
ちょうど次のサッカーW杯の年ですよね。
これを契機に、日本では123万人のプロドライバーの失業が始まるだろうと言われています。
同時に、その頃には金融業界でも革新的な進化が生まれることが予想されます。
メガバンクが相次いで大規模な人員削減計画を発表したのは、もちろんこれを視野に入れてのことです。
もっとも銀行業務に関して言えば、現在のRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)をベースにした技術革新だけでもかなりの省力化が可能となるでしょう。
ドライバーを中心とした自動車関連業界と金融業界は、これから激震に見舞われることは間違いありません。
では、それ以外の業界はどうでしょう?
実は、それ以外の業界に関しては、当分の間それほど大きなイノベーションは起こらないだろうと考えられています。
なぜかと言うと、スパコンが使えないので、普通のコンピューターを使った低レベルの研究しかできないからです。
AIを組み込んだ炊飯器が発売されたといっても、それほど大した機能でないのはそのためです。
では、ホワイトカラーやナレッジワーカーは安泰でしょうか?
ホワイトカラーの仕事は、かなりの部分がRPAに代替されてしまいますが、ナレッジワーカーの方は当面は大丈夫だと思われます。
弁護士や税理士の仕事を代替するAIを開発するのは、技術的にはそれほど難しいことではないそうですが、その市場規模が小さいため、莫大な研究開発費をかけてスパコンを利用した研究をしても採算が取れないからです。
弁護士報酬があまりに高額なアメリカでは、弁護士業務をAIに代替させる研究が進んでいるそうですが、日本は当分安泰でしょう。
でも、コンピューターの性能は日進月歩です。
いずれスパコン並みの機能を持ったコンピューターが、数十万円で買える日が来るでしょう。
問題は、それがいつかです。
その時がターニング・ポイントです。
鈴木はズバリ2026年頃、つまり次の次のW杯あたりだと断言します。
その根拠は、ゲーム機のPS4にありました。
PS4が発売されたのは2013年ですが、その性能は15年前の1998年頃のスパコンとほぼ同じ。
つまり15年経つと、昔のスパコンと同じ高性能のコンピューターが、ヨドバシカメラで簡単に手に入るようになるのです。
『京』が世界1位の座に輝いたのは2011年。
それから15年後というと2026年。
まさに次の次のW杯の年です。
予算不足のためスパコンを利用できないAI研究者の一人一人に、『京』と同じ性能のスパコンが行き渡った時、一体どんなブレイクスルーが起きるのか全く予想がつきません。
どうしたらいいのでしょう?
私にもわかりませんが、とりあえず覚悟だけはしておいた方がいいでしょう。
えっ?何の覚悟かって?
それもよくわかりませんが、とにかくAIを過小評価しない方がいいことだけは確かです。
そもそも、中高年がAIを過小評価するのには理由があります。
それは、AIが人間の仕事を奪い始める頃には、自分はもう現役をリタイアしているので、「AI失業」なんて所詮他人事だと思っているからです。
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