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5☆s 講師ブログ

MBWA(3)

管理職自らが職場を歩き回って部下とコミュニケーションをとるという、いわゆる「MBWA(マネジメント・バイ・ウォーキング・アラウンド)」の手法を駆使して、アメリカ海軍で最低の評価だったミサイル駆逐艦ベンフォルドを、艦長就任以来1年足らずで海軍史上No.1の評価にまでに引き上げたのが、伝説の艦長マイケル・アブラショフ。

彼は、リーダーシップをとる時に最も重要なことは、「組織の隅々まで目を凝らし、同時に自分の姿も周りから見えるようにしておく」ことだと言います。
言い換えると、MBWAを通じて「上司と部下のお互いの人間観察」ができるようにしておくことです。

彼は、毎日艦内を歩き回り、乗組員一人一人に声をかけるのですが驚くべきはその数。
なんと、300人余りの乗組員全員に、2日に1度は声がけしているのです。
つまり、毎日150人以上の部下に声がけしている計算になります。

それも単に名前を呼んだり、最近の調子を尋ねたりするだけではありません。
担当している仕事の重要性を認めてあげて、日頃の仕事ぶりに対する感謝を伝えたりします。
また時には、担当職務に関する改善提案をするよう呼びかけたりもするのです。
部下というものは、上司から声をかけられることで、自分の存在が承認されたことを実感します。
これが安心感に繋がります。

そして、部下の担当している仕事の意義やその仕事ぶりを、上司が直接認めてあげることで仕事に対する責任感が生まれます。

さらに、改善提案を求められたりすると、仕事への取り組み姿勢が主体的なものに変わります。
このMBWAの際、マイケルが特に気をつけていたことがあります。
それは、努めて最下層に位置する部署に顔を出すことでした。

「ベンフォルド」で最下層の部署の仕事を担っていたのは、下水システムを担当する技術者ショーン・パーキンスでした。
彼の仕事は、艦底のタンクに蓄積された廃棄物を最終的に艦外に廃棄することです。
しかし、パイプの継ぎ目に問題があったたため、彼はいつも下水漏れと格闘しなければなりませんでした。
想像するだけで気が滅入る仕事ですよね。
この部署は文字通り艦の最下層、つまり艦底に位置していたため、ここにたどり着くには狭い梯子を伝って4層下まで降りなければなりませんでした。

しかしマイケルは、ここにも1日置きに顔を出していました。
艦長がいくら強大な権限を持っているといっても、ショーンの劣悪な労働環境そのものを変えることはできません。
でも、ショーンがとてもいい仕事をしていると認めてあげることや、艦の運行にはショーンの力が絶対に必要なのだということを直接伝えることはできます。
ショーンはこのつらい仕事を完璧に遂行してくれただけでなく、難易度が高いため手を挙げる者が少ない救命ダイバーの任務にも真っ先に志願してくれました。

マイケル艦長は言います。
「『君こそが重要な存在なのだ』と伝え続けることにより、部下たちは仕事に大きな誇りを持って、上司のため、自分自身のために優れた結果を出してくれる」と。

上司が職場を歩き回れば、部下の様子を細かく観察することができます。
また、部下にとっても上司を身近な存在として感じられるので、お互いの心理的な距離は縮まります。
さらにその時に、上司が「君こそが重要な存在なのだ」というメッセージを直接伝えると、もっと大きな効果が期待できるのです。

「部下のやる気が感じられない」とお嘆きのあなた!
改善すべきは部下の取組姿勢ではなく、あなたのマネジメント・スタイルの方ではありませんか?

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