株式会社ファイブスターズ アカデミー
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遅くとも2035年までには、イギリスの労働者の仕事の47%がAIに置き換わってしまうという、オックスフォード大学のマイケル・オズボーン准教授らの衝撃の論文が発表されたのは2014年。
その後、野村総研が共同研究として日本の労働人口に当てはめたところ、日本で将来消滅するであろう仕事はなんと49%にものぼりました。
それは嫌だとAIの進化にブレーキをかけてしまうと、今度は他国との競争に負けて取り残されるとIT企業の経営者は危機感を煽ります。
一体どうしたらいいのでしょう。
イギリスの産業革命期には、蒸気機関の普及により仕事を奪われた労働者たちが、機械の「打ち壊し運動」に走りました。
幸いなことにこの時は、サービス業という新たな産業が出現し、失業者たちの受け皿になってくれたのですが、今回のAI・ロボットの進化はそのサービス業の仕事さえ奪ってしまうほど凄まじいものです。
もしかしたら、コンピューターやロボットの「打ち壊し運動」が起こるかもしれません。
あるいは、職場はコンピューターとロボットに占拠されてしまい、人間はホームレスをやっているしか能がないという事態に陥るのかもしれません。
AIのもたらす未来について、最初にその著書『人工知能と経済の未来』で警鐘を鳴らしたのは、駒沢大学の井上智洋です。
その井上が、ネット記事で大変興味深い問題提起を行っていました。
それは、「勤労とは、それほど重要なことか?」という問いです。
「何をいまさら。日本国憲法では、勤労は教育や納税と並んで『国民の三大義務』と明記されているではないか!」とお叱りの声が聞こえてきそうですが、これが実はそうでもないのです。
今どき「勤労」を国民の義務として謳っている国は、世界広しと言えども日本と北朝鮮くらいだそうです。
かつてのソ連のスターリン憲法もそうでした。
日本国憲法の草案は、当初「すべて国民は、勤労の権利を有する」となっていたのですが、スターリンの信奉者がいつの間にか「権利」を「義務」と書き換えてしまったそうです。
そう考えると、「勤労義務」というのは、限りなく社会主義に近い考え方と言えるのではないでしょうか。
国民全員が額に汗して平等に働いて、その結果平等な賃金を手にする。
まさに、高度成長期の日本がそうでした。
日本には「働かざる者、食うべからず」という諺があります。
労働をしない者は怠け者だ。
みんなと同じように額に汗して働いてこそ、初めて社会の一員として認められる。
長い間、このような考え方が日本人の労働観であり、同時に道徳でもありました。
しかし、これはあることが大前提となっていることにお気づきですか?
それは、「完全雇用」です。
世の中が不景気になって、働きたくても働けない人が出てきたらどうなるのでしょう。
あるいは、何らかの障がいを持っているため、もともと就労すること自体が困難な人もいます。
欧米では、そういう人たちのために、「社会扶助」という思想が生まれました。
すなわち、貧困者は政府が扶助すべきであるという考えです。
ところが、これに対しても日本人は非常に厳しい態度を示します。
社会扶助に賛成する人の割合は、アメリカでは70%もいるのに、日本はなんと59%しかいないというのです。
これは、主要国の中で最も低い数字です。
弱肉強食の資本主義が極限まで進化したような感のあるアメリカでさえ、多くの人が「富める者は貧しき者を助けるべし」と考えているのに、日本はそうではないのです。
一体どういうことなのでしょう。
「貧しき者は野垂れ死ぬべし」ということなのでしょうか。
だとすれば、血も涙もない民族ということになってしまいます。
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