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5☆s 講師ブログ

いい会社

『かんてんぱぱ』でお馴染みの、長野県にある伊那食品工業は、寒天の国内シェア80%を誇る創業60年の老舗企業です。

今どき珍しく、完全な「終身雇用・年功序列」を貫いている会社でもあります。
しかも、スタッドレスタイヤ手当を支給するなど、社員の福利厚生制度が充実していることでも有名。

社員数は500人に満たない企業ですが、これまで規模を大きくするチャンスは何度もありました。

しかし、この会社が急激な事業拡大を選択することはありませんでした。
新製品は数年に1回しか発表しません。
どんなに素晴らしいアイデアがあっても、あえて封印して数年寝かせるのです。

なぜ、そんなことをするのでしょうか?

慌てて発表した新製品が大ヒットしたりすると、増産のために社員を増やさなければなりません。
しかし、売上が一段落しその後競合などにより売上が落ち始めると、今度は一転してリストラをする必要に迫られます。

伊那食品工業は、それが嫌なのです。

社員のリストラをしたくないのです。

だから、そこにビジネスチャンスがあることがわかっていても、あえてスピード勝負を挑まずに、緩やかでも着実な成長の方を目指すのです。

この方針を「年輪経営」と称するこの会社の社是は、「いい会社をつくりましょう」です。

ところで、「いい会社」とは、一体どういう会社を言うのでしょう?

ホリエモンの事件をきっかけに、買収への防衛策として株主を重視する会社が増えましたが、株主の利益を優先するあまり社員の昇給が抑えられたり、あるいは下請け会社にシワ寄せがいったりしているケースもあります。

これでは、到底「いい会社」とは言えませんよね。

また、利益率の高い商品に注力することで事業を拡大する会社もありますが、この場合は結果的に高価格の商品を売っているわけですから、最終ユーザーである消費者が不利益を被っていると解釈することもできます。

「いい会社」の定義はなかなか難しいですね。

伊那食品工業が考える「いい会社」とは、「全てのステークホルダー(利害関係者)に利益をもたらす会社」のことです。

つまり、今年度とか来年度といった短期的視点ではなく、長期に渡ってすべてのステークホルダーに安定的に利益を与え続けることを目指すのです。

そのためには、まず社員が安心して働けることこそが重要です。

常に目先の数字を追いかけてばかりいると、どこかに歪みが生じます。
社員が疲弊します。
社員が安心して働ける環境があってこそ、初めてお客様のことや取引先の利益をじっくり考えることができるのです。

星野リゾートも社員を大切にする会社です。

かつて、宿泊施設には宴会施設が併設されていましたが、ある理由でこれを廃止してしまいます。
その理由とは重労働である上、酔っ払いに絡まれて社員が不愉快な思いをすることです。
現在、宴会を手がけているのは、酔っ払いに絡まれる心配の少ないウェディング事業だけです。

目先の利益のために、社員がガマンを強いられている会社と、社員が安心してイキイキ働いている会社。

長い目で見て、多くの利益をもたらしてくれるのは、はたしてどちらの方でしょう。
ちなみに伊那食品工業のHPには、二宮尊徳のこんな言葉が紹介されています。

「遠きをはかる者は富み 

近くをはかる者は貧す。
それ遠きをはかる者は百年のために杉苗を植う。
まして春まきて秋実る物においてや。
故に富有なり。

近くをはかる者は 

春植えて秋実る物をも尚遠しとして植えず 
唯眼前の利に迷うてまかずして取り 
植えずして刈り取る事のみ眼につく。 
故に貧窮す」

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