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5☆s 講師ブログ

自分はイケてる!

2017年1月のブログ『ダニング=クルーガー効果』で紹介したとおり、とかく人は自分の能力を過大評価しがちなもの。
会社でもそうですよね。
大した能力もないのに、偉そうに振る舞っている管理職は大勢います。

さらには、そんな不満を口にしているあなただって、本当は自分が思っているほど能力は高くないのですよ。
要するに、自分の人事考課に納得がいかないのは、自分の能力を過大評価してしまい、客観的に正しく評価する「メタ認知」ができていないからです。

「能力が劣っている人ほどなぜか自信満々」という「ダニング=クルーガー効果」は、実験によって「一般学力テスト」や「論理的思考力」の分野でも確認されています。
まぁそれだけなら、周りから陰で嘲笑されるだけで大した害はないのですが、高齢ドライバーほど「運転技術」に自信があると聞いては黙っていられません。
最近問題になっている、高齢ドライバーのアクセルとブレーキの踏み間違えの一因はこれかもしれません。

ところが、今回お話しするのは「能力」に関する話ではなく、なんと「顔」に関してです。
慶応大学の温文らは、2014年にとてもキャッチーな題名の論文を発表しました。
曰く『なぜ私ってフォトジェニックじゃないの?』

どうです?
読んでみたくなりませんか。

実験の概要はこうです。
まず、被験者の顔をデジカメで撮影します。

次に画像編集ソフトを使って、目だけを拡大したり縮小して、以下の6種類の画像を用意します。
①目だけを5%拡大
②15%拡大
③20%拡大
④5%縮小
⑤15%縮小
⑥20%縮小

これに「元の顔」を加え、これらの中から「もっとも自分らしい顔」を選んでもらいます。この時、被験者のクラスメイトにも参加してもらったのですが、彼らは正しく「元の顔」を選択しました。
ところが、これが本人が選ぶとなると、どうしても①の「5%拡大」を選んでしまうのです。

さらに、温文らは「口」についても同様の実験をしました。
するとこれも、クラスメイトは正しく選択できるのに対し、本人は「小さめ」を選んでしまうのでした。
みんな自分の顔のことを、実物以上に「イケてる!」と思い込んでいるというわけです。

私には、この実験結果は恐るべき事実を教えてくれているように思えてなりません。
というのは、人は一日のうち何回か鏡で自分の「顔」を見ますよね。
それほど頻繁に見ている「顔」でも、こんな過大評価が生じてしまうのです。

もし、これが「顔」ではなく、「能力」だったらどうでしょう。
そんなに頻繁に、自分の「能力」を確認する機会はありませんよね。

それどころか、特殊なテストでもやらない限り、客観的に「能力」を確認することなんて不可能です。
となると、自分の「能力」の過大評価度合いは、きっと「顔」以上になるでしょう。
「目」の場合は5%程度の過大評価で済みましたが、「能力」となると20%どころでは済まないかも。

自分の能力に対する自身の認識と、周りの人の認識のギャップというのは、想像以上にかなり大きいのかもしれません。
だんだん恐ろしくなってきました。

「人間、いかなる時も謙虚に」
確かにその通りです。

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