今年の春、大手時計メーカーがネットを使って、2017年度の新入社員400人(男女各200人)に意識調査を行った結果が発表されていました。
その中に「新入社員が『時間のムダ』だと思った仕事」という項目があります。
もしかしたら、時短のヒントが見つかるかもしれませんのでトップ5を紹介します。
ちなみに、2位と4位は同率で二つずつあります。
1位.朝礼・・・15.3%
2位.ちょっとした打ち合わせ・・・13.8%
2位.お茶くみ・・・13.8%
4位.社内会議・・・11.5%
4位.業務報告書作成・・・11.5%
まずはトップの「朝礼」から見ていきましょう。
朝礼を意味がないこととは思いませんが、マンネリ化してしまっている可能性はあります。
「生意気言うな」と怒る前に、改めて朝礼運営を見直してみませんか。
毎日当たり前に行っているルーティン作業について、本当に意味があることなのだろうかと考える機会というのは、新入社員が問題提起しない限り訪れませんから。
朝礼の次に多かったのが、「ちょっとした打合せ」と「お茶くみ」です。
「ちょっとした打合せ」をムダと感じてしまうのは、まさにマンネリ化が進んでいる証拠ではないでしょうか。
もしかしたら、打合せよりも雑談がメインになってしまっているのかもしれません。
「お茶くみ」というのは女性社員(15.5%)だけでなく、男性社員からの指摘(12.0%)も結構ありました。
今どき、新入社員が職場の先輩たちに「お茶くみ」している会社がそれほどたくさんあるとは考えられないので、おそらく来客への応対ではないかと思われます。
女性社員が来客用にせっせと「お茶くみ」している姿を見た男性社員が、「時間のムダ」と感じたのだとすれば納得がいきます。
最近では打ち合わせにお伺いすると、先方の男性社員が給茶機のお茶を運んできてくれるケースも多くなりました。
また、小ぶりのペットボトルを出してくれる会社もあります。
女性社員にお茶出しさせている会社は、「おもてなし」のつもりかもしれませんが、来客側はどう感じるでしょうか。
もしかしたら、「女性が活躍の機会を与えられていない会社」と判断されてしまう可能性もあります。
一度、来客側の視点で検討してみる必要がありそうです。
次の「社内会議」と「業務報告書作成」ですが、まず「業務報告書」の方から考えてみましょう。
「業務報告書」は必ず作成しなければいけないもので、省略できないことは新入社員だって十分わかっているはず。
彼らが言いたいのは、業務報告書を作成する作業をもっと効率化できないかということです。
すでに業務報告書がIT化されている会社はたくさんありますが、その入力システムに更なる効率化の余地は残されていませんか。
もちろん自由に書き込める欄は絶対に必要ですが、それ以外の項目は例えばネットで会員申し込みするときのように選択肢形式で入力できたらいいですよね。
この辺りを新入社員に企画させてみるのも面白いのではないでしょうか。
さて、最後に「社内会議」の問題ですが、これは根深いものがあります。
まず、「社内会議」の問題点は、大きく二つ挙げられるように思います。
一つは、会議を開催する目的(ゴール)が明確になっていないまま開催される場合が多いことです。
単なる「情報連携」や、「各部門の認識を共通にする」ことを目的とした会議もありますが、これなどはメールでも代替可能ではないでしょうか。
本来の「重要な意思決定」を目的とする会議となると、取締役会などを除けばそれほど多くはないはずです。
いずれにせよ、その会議を開催する目的があまり明確になっていないのに、とりあえず招集される会議が多いことは事実です。
目的が明確化されていない会議というのは、ゴールがどこなのかわからないのにとりあえず走り始める陸上競技のようなものです。
会議を開催する際は、その目的(ゴール)が事前にキチンと告知されていなくてはいけません。
「社内会議」の二つ目の問題点は、招集される参加者の選定基準が曖昧だということです。
会議の決定によっては業務に影響が出るかもしれないと思われる部署に関しては、とりあえず招集しておかないと後で「そんな話は聞いていない!」とクレームになることも考えられます。
その“保険”のために、どうしても参加者が増えてしまう傾向にあります。
これら「社内会議」の問題点を解決するためにやらなければならないことは、招集する側の十分な事前準備です。
会議の目的(ゴール)の明確化はもちろんのこと、論点やバックデータなどを簡潔にまとめた資料も一週間前には配布しておくべきです。
また、招集する参加者の決定に当たっても、影響が出る可能性のあるグレーゾーンの部署に対して事前に会議の趣旨をメールで説明しておいて、参加の意思を個別に返信してもらう方法も考えられます。
たとえ参加者を減らせなかったとしても、会議に参加する際の問題意識は各段に高まるはずです。
このように考えると、新入社員がフレッシュな視点から提起する問題点には、「働き方改革」のヒントがいくつか隠されている可能性がありますよね。