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5☆s 講師ブログ

神が多すぎる

最近、「神」が多すぎると思いませんか?

芸能人が、ファンに対してちょっと丁寧な対応をすると「神対応」。

女性タレントが、CMで見事なバットスウィングを披露すると「神スウィング」。

でも、本当に世界で一番素晴らしいスウィングならば、とっくにソフトボールの日本代表か、女子プロ野球のトップ選手になっているはず。

芸能人の「神対応」だって、接客のプロから見たら穴だらけ。

「神対応」の反対は「地獄対応」とでも言うのかと思ったら、「塩対応」なのだそうです。

「神」の反対が「塩」というのは一体どういうことでしょう?

要するに、大安売りされる「神○○」の定義は、「それが本業ではないけれど、素人の中ではトップレベル」という程度のことでしょうか。

その証拠に、それを本来の職業とする人が素晴らしい仕事をしても、決して「神○○」とは言われません。
「さすがプロ!」と言われるだけです。

ということは、「神」は「プロ」よりも格下ということになってしまいます。

「神」も随分とナメられたものですね。

これは、日本が多神教の国だからこそ許されることです。

一神教の国で気軽に「神」を名乗ったりすると、最悪の場合身の危険に繋がりかねません。
なにせ日本には、八百万(やおよろず)の神がいると言われるほど神様が身近な存在ですので、その分神様に対する畏怖の念が希薄なのでしょう。

ところで、八百万もいる日本の神様の大本締めは、一体誰なのかと考えてみました。

有名どころと言えばやっぱり「天照大神(アマテラスオオミカミ)」。
でも、『日本書紀』によると天照大神を産んだのは、伊耶那岐命(イザナギ)と伊耶那美命(イザナミ)の夫婦となっています。

彼らは、兄と妹の関係にありますが、当時は近親婚を禁じる法律がなかったのでこれはやむを得ないこと。

この二人の神は、天の神々から国づくりを任せられます。
これが日本という国の始まりなのだそうです。

ということはこの二神こそが、“God of Gods”、すなわち「神々の中の神」なのでしょうか。

もしそうならば、それこそ全知全能の神のはず。

ところが『古事記』によると、この二神の国産みの際、最初に生まれたのは水蛭子(ヒルコ)という不具の子どもでした。

彼らは、あろうことかその子を葦の船に乗せて流してしまいます。

これは明らかに人権ならぬ“神権”問題。

というより、最早刑事事件ではありませんか!
とてもじゃないけど「神対応」とは言えませんよね。

良くないことは続くもので、次に生まれた淡島神(アハシマ)も出来の悪い子どもでした。

そんなわけで水蛭子と淡島神は、二神が産んだ子どものリストには入れてはいけないと『古事記』に書かれています。

なかなかよい子が生まれないとなると、普通なら神頼みといきたいところですが、残念ながらこの場合は自分が神様。
さぁ、どうしたものかと悩んだ二神は、「フトマニ」という占い師のところに相談に行きます。

なんと“God of Gods”、「神々の中の神」が最後に頼ったのは占いだったのです。

つまり、日本では神様より占い師の方が偉いのです。
政治学者の丸山眞男はこの点を指摘し、天皇制の正当性に対して重大な疑問を呈しました。

そもそも歴史を振り返ってみると、「神」はその時の為政者の都合のいいように利用されてきました。

ヨーロッパでは、「神」を大義名分に宗教戦争が繰り広げられます。
太平洋戦争中の日本では、政府が天皇のことを人間の形をした神、すなわち「現人神(アラヒトガミ)」として奉り、兵士たちは「神」である天皇のために死んでいきました。

70数年後のその国で、「神○○」なんて軽口を叩いていられるのは、現在が平和であることの象徴と言えるかもしれません。

終戦後天皇は、「自分は神ではない。人間である」という宣言、すなわち「人間宣言」を表明したのですが、多くの日本人にとってこれは衝撃の告白でした。

笑いごとではありません!

今、核実験をやったりミサイルをバンバン打ち上げているあの国だって、指導者を偶像化するのに必死ではありませんか。
なぜなら、偶像化が成功した時の国民の精神的な結束力の強さについて、日本の実例で嫌と言うほど学んだからです。

あの国がお手本としているのは、間違いなく戦時中の日本です。

なにせ「一億総玉砕」の合い言葉のもと、民間人も含めて300万人以上の人間が、偶像のために喜んで自分の命を差し出したのですから。

現在、極東アジアの緊張は極限近くにまで高まっています。

この超難問を平和裏に解決できるのは、「神」でも占い師でもありません。
人類の英知を結集することです。
それしか方法はありません。

ところが、その鍵を握る当事者のトップが二人とも、人類の英知とは最もかけ離れた場所にいるように見えるのは私だけでしょうか。

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