株式会社ファイブスターズ アカデミー
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はっきり言って、これは誤訳だと思うのです。
正しくは『人生の二つの扉』ではなく、『出口標識間の人生』と訳されるべきです。
「二つの出口」の意味するところは、そのメンバー構成から推し量ることができます。
3歳でクラシックピアノのレッスンを始め、5歳でテレビのタレントスカウト番組で上位入賞。
ニューヨーク「ビレッジ・ヴァンガード」の月曜ジャム・セッションで、知り合いのテナー奏者に誘われるままピアノを弾いたとき、カウンターでその演奏を聴いていたのがアート・ブレイキーでした。
しかし、彼のジャズピアノの基礎はビル・エバンスではありません。
コーツは、後にキースがビッグネームになった時、「瓜二つの演奏をする」と話題になったピアニストですが、種明かしをするとキースがコーツのスタイルを模倣しただけの話です。
若い頃は二つしかなかった「出口標識」は、年を重ねるごとに増えていきます。
このアルバムの邦題は『生と死の幻想』。
「私達は生(誕生)と死の間を生きている。あるいはそのように自分自身を納得させている。
なんか、哲学してますよね。
そんなキースが転機を迎えたのは1983年。
「お変わりありませんか?」と挨拶を交わす日本では、ピアノトリオによるスタンダード・ジャズが人気なのは頷けます。
でも、”What’s new?”が文化のアメリカでは、手垢にまみれた過去のジャズを演奏することはほとんど自殺行為です。
きっかけはハービー・ハンコックのV.S.O.P.の成功によって俄かに脚光を浴び始めた、アコースティック・ジャズに対する懸念だったのではないかと思われます。
曰く「ウィントンが優れたブルースを演奏しているとは思えない」。
キースの『スタンダーズ』の発表に触発されたマルサリスが、『スタンダード・タイム』をリリースしたのはその3年後。
この二人が、現代のメインストリーム・ジャズの道筋を作ったと言っても過言ではないでしょう。
しかもキースの場合は、即興のピアノソロの方がメイン出口になってしまった感さえあります。
1996年ツアー先のイタリアで、極度の疲労感に襲われ静養に追い込まれたキースの診断名は「慢性疲労症候群」。
2014年の大阪で、度重なる無遠慮な観客の咳に業を煮やし、何度か演奏を中断した挙句にコンサートを途中で切り上げてしまいます。
整形外科医でジャズ・ジャーナリストの小川隆夫の証言があります。
「ミス・タッチは仕方ないとしても、表現したいことが完璧にできないもどかしさにがっかりした。
ところが小川によれば、ゲーリー・ピーコック(ベース)、ジャック・ディジョネット(ドラムス)という、『スタンダーズ』でお馴染みの名手を従えたトリオ演奏はこの日も絶好調で、ソールド・アウトの客席はスタンディング・オヴェイションに包まれ、キースも3回のアンコールに応じていたのです。
「アンコールの拍手ほど嬉しいものはない。
その後深夜に近いマンハッタンに繰り出し、辺りが明るくなりかけた頃ホテルに戻った小川が目にしたのは、なおもロビーで沈思黙考しているキースの姿でした。
そもそも、キースはなぜ“Doors”ではなく、“Exit Signs”という表現を用いたのでしょうか。
そして、その閉じ込められている部屋とは、もしかしたら「実験室」なのかもしれません。
なぜならキースの即興演奏は、コンサートというよりもワークショップそのものだからです。
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