株式会社ファイブスターズ アカデミー
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2012年12月に第二次安倍内閣が発足し、低迷する日本経済の立て直し策の目玉として「アベノミクス」が発表されました。
これは、それまでの日銀の金融政策を真向から否定するものだったため、“日銀擁護派”の経済学者たちからは一斉に反対の声が上がりました。
この時、海外での評価はどうだったのでしょうか。
それによれば71%にあたる15人がアベノミクスに賛意を示し、5人が「あまり変化はない」と回答、「非常に悪い」と回答したのはわずか1人だけでした。
またほぼ同じ時期、アメリカのIMG(Initiative on Global Markets)というウェブサイトでは日本のデフレに関する調査を行い、約40名の著名なエコノミストに対して次のような質問をしています。
「1997年以降日本ではデフレーションがしぶとく続いているが、仮に日銀が実際とは異なる金融政策を採っていたとしたらデフレは避け得ただろう、という主張に同意しますか?」
①強く同意43%
②同意36%
③不同意5%
④なんとも言えない16%
他に「これと言って特に意見なし18%」、「未回答10%」がありますが、ほとんどの経済学者がそれまでの日銀の金融政策は誤りであり、アベノミクスは正しいと評価していることが分かります。
それから4年が経ち、どちらが正しかったのかは火を見るより明らかです。
そして何よりも、自殺者の数が大幅に減りました。
松尾匡が指摘した通り、1953年以降の失業率と男性自殺死亡率の推移をグラフにするとほぼ一致します。
しかも、50代男性に限ればもっと相関は高まるそうです。
デフレから脱却できないのは、2014年4月の消費税率アップが最大の原因とされています。
ところが、識者の多くが「消費税率アップは景気に影響を与えない」という楽観的な回答をしてしまいます。
なぜ、日本の経済学者はいつも間違うのでしょう。
しかも、日本では誰も責任を取らないどころか、そもそも見通しが誤りだったことを認めなくてよいのです。
ただし、アナリストという職業は別です。
ですので、これは「ポジション・トーク」と呼ばれます。
もし、予想に反して国債価格が下落しなかった時は、当然のことながら多大な損失を被ります。
現在、この手の人たちはほとんど淘汰されてしまい、マーケットでは「絶滅危惧種」に分類されています。
アナリストでもないのに日本国債が暴落すると訴える人は単に勉強不足なだけで、過去にはノストラダムスの大予言を信じていた人です。
安倍首相は、日本の経済学者たちの予想が大外れしたことで深刻な不信感を抱きます。
ちなみに、厳密に言うと「ノーベル経済学賞」なる賞はこの世に存在しないのだそうです。
そもそもノーベルの遺言には経済学賞などなく、後に世界最古の中央銀行であるスウェーデン国立銀行が創設300周年を迎える際に「経済学賞」の設立を強く要望したため、スウェーデン科学アカデミーとノーベル財団が条件つきで渋々認めたものです。
他のノーベル賞受賞者と一緒にスウェーデン国王から賞状などを授与されますが、正式名称は「アルフレッド・ノーベル記念スウェーデン国立銀行経済学賞」といって、賞金もノーベル財団ではなくスウェーデン国立銀行が設立した基金から拠出されています。
さて、本題に戻りましょう。
なぜ、日本の経済学者はこれほどまでにポンコツ揃いなのでしょう。
しかし、私は日銀の責任が大きいのではないかと思うのです。
日本には、世界では常識となっている「量的緩和」や「インフレターゲット」という金融政策に対して、強いアレルギーを持つ経済学者が非常に多くいます。
浜田宏一によれば、かつての日銀マンの行動は以下のようなものでした。
経済学者が、メディアなどで日銀に批判的な意見を述べると、間髪を入れず電話を架けます。
そしてその説明が終わり、帰り際に言う殺し文句がすごいのです。
経済学者にとって日銀から招待されることは、この上ない名誉です。
こうして、日銀が思い切った量的緩和を拒否している間にデフレはますます進行し、日本の失業率はどんどん高くなりました。
そしてその結果、経済的な理由で自殺する人が増加したのです。
私は、歴代の日銀総裁は裁判にかけられるべきだと思っています。
どの政策が誤りで、どの政策が有効だったのかを客観的に明らかにして、キチンと記録しておくべきだと思うのです。
歴史という名の法廷の、被告人席に立つ勇気のない者は、日銀の金融政策に関わるべきではありません。
経済学者の目指すところは富や名声などではなく、失業による自殺者を一人でも減らすことのはずです。
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