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5☆s 講師ブログ

親の呪縛

子供の頃に測定したIQが、その後の学校の成績と関係があることはよく知られています。
エディンバラ大学のディアリ博士によると、小学生のIQ値というのは、
高校生になってから行う全国統一テストの成績と80%以上一致するそうです。

でも、この小学生のIQというのは、遺伝で決まってしまうところが大きいのです。
このブログでも2009年6月の『IQ遺伝子』や、2016年8月の『頭のよくなる薬』の回で紹介しましたよね。

さて、遺伝的要因がどのくらいIQに影響しているのかという研究があります。

それによると年齢が高くなるにつれて、遺伝子の寄与率も高くなるそうです。

オランダで行われた双生児の調査結果によると、遺伝で説明できるのは5歳では26%でしたが、
7歳39%、10歳54%、12歳64%と年をとるごとに遺伝子の影響する割合が増えていきました。

幼い頃には「もしかしたらウチの子は天才かも?」と思う場面があったのに、
成長とともに冷酷な現実を突きつけられたという経験をした人も多いはず。

しかし、遺伝的要因の占める割合がこれほど高いとなると、なんだか努力するのが空しくなってきますよね。

しかも、IQは長期間にわたり安定的であることもわかっています。

11歳の時に測定したIQと、79歳で再測定したIQとの相関率は60%を超えるそうです。

ほら、頭の良し悪しというのは、やっぱり親の呪縛から逃れられないのですよ。

ところが、ディアリ博士が2012年に『ネイチャー』誌に発表した内容は、私たちに希望を与えてくれるものでした。

60万カ所の遺伝子についてIQへの寄与度を調べた結果、若いうちはどんどん高まっていた遺伝子の寄与度が、
60歳を超えるとむしろ低くなり28%まで低下するというのです。

私も60歳を超えていますので、これは朗報です。

ついに、親の呪縛から逃れることができたのです。
よかった、よかった。

でも、考えてみれば当たり前といえば当たり前。

だって、60年の長きにわたりいろいろな経験をして、そこから様々な教訓を得ているわけですから、遺伝子よりも実人生の方から多くのことを学んで賢くなったということです。
まぁ、いずれにせよ、めでたし、めでたし・・・。

ところが、そうはならないのです!

なんと「遺伝の呪縛からいかに逃れるか」という能力もまた、遺伝子で決まっている可能性があるというのです。
遺伝の呪縛から逃れる能力というのは、経験から学習する能力のことです。
博士によれば、「遺伝子の寄与率を下げる能力の62%が遺伝で決まっている」そうです。

もう勘弁して!

私たちは、一生親の呪縛から逃れられないの?

でも、ちょっと待ってください。

今、大事なことに気づきました。

それは、この話は、絶対に子供の前ではしてはならないということです。

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