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5☆s 講師ブログ

口“癖”は災いの元

上司の口癖が、知らず知らずのうちに伝染してしまった。
そんな経験はありませんか?

ところが、伝染しているのは口癖だけでなく、行動もまた伝染しているという、
ジョン・バーグの衝撃の論文が発表されたのは1996年のことでした。

実験の概要はこうです。

まず、5つの単語からなる文章がバラバラにされており、それを復元するという作業をしてもらいます。
それを30問繰り返します。

このとき被験者たちはA、B、Cの3つのグループに分けられているのですが、
それぞれのグループが作業する単語の中にちょっとした仕掛けがしてあります。

Aグループには、「妨害」、「ぶっきらぼう」、「鉄面皮」といった「無礼」を連想させる単語が含まれています。

Bグループには、反対に「礼儀正しい」とか「行儀」などの「丁寧」を連想させる語群。
Cグループは対照群ですので、「上機嫌」、「用意する」、「練習する」といった、「無礼」とか「丁寧」とは関係のない言葉ばかり。

さて、30問やり終えたところで、いよいよ本当の実験のスタートです。

被験者は別室に行って、日当をもらうよう指示されます。

ところがいざ部屋に行ってみると、日当をくれるはずの担当者が別の人と熱心に話し込んでいるではありませんか。

結構白熱したやりとりなので、割り込みにくい雰囲気です。
実は、話している相手はサクラで、二人は共謀して被験者が割り込めないように、わざと途切れることなく話し続けているのです。

このとき、被験者はどのくらいの時間待つことができるか、というのがこの実験の本当の狙いです。

被験者がしびれを切らして、「あのー」と言って二人の会話に割り込んだ時点で、実験は終了というわけです。
もし、割り込めないまま10分が経過したら、二人は話を止める段取りとなっているので記録は最長でも10分です。

さて、結果はどうなったでしょう。

対照群のCグル ープの平均は8.7分。
これが目安となります。

「丁寧」な言葉に晒されたBグループは、割り込むのは失礼だという潜在意識が働いたため9.3分と長くなりました。

10分間のタイムアップまでずっと待ち続けた人は、80%以上にのぼります。

問題は「無礼」な言葉を目にしたAグループです。

平均はなんと5.4分。

最後までじっと待っていた人は、わずか35%しかいませんでした。
「無礼」な言葉に晒されていた彼らは、二人の会話を妨害するのにさほど躊躇しなかったということです。

この、言葉が行動に及ぼす影響を調べた、バーグの実験がもう一つあります。

先ほどと同様、文章を復元させるのですが、今度は「引退」とか「シワ」といった老人に関する言葉が使われています。

その後、被験者は廊下を歩いてエレベーターまで行くのですが、どのくらい時間がかかるか実験前と比較したのです。

すると驚くべきことに、実験前よりも1~2秒長くなっていました。
いつの間にか老け込んだ気分になり、行動までスローモーになってしまっていたのです。

言葉が私たちの潜在意識に与える影響は、思った以上に大きいようです。

普段私たちは、自分の判断で行動を決定していると思っていますよね。

ところが、この実験から分かったことは、上司の口癖など職場でよく使われている言葉が、
潜在意識を通じて行動そのものに影響を及ぼす可能性があるということです。

昔から「口は災いの元」と言いますが、「口“癖”も災いの元」だったのです。

でも、逆の考え方もできます。

すなわち、上司が日頃から自分の口癖に気をつけて、職場の雰囲気が望ましいものになるよう努力していれば、
それがメンバーの潜在意識に働いて一人一人の行動を望ましい方向に変えていくことができるかもしれないのです。

明日から、ちょっと言葉遣いに気を付けてみませんか?

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