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5☆s 講師ブログ

目先のマシュマロ

ダイエットをしているはずなのに、目の前にスナック菓子があるとついつい手が出てしまう・・・。
そんなあなたは、はっきり言って出世できませんよ。
ウォルター・ミッシェルが、スタンフォード大学で行った『マシュマロ実験』がそれを示しています。

まず、幼稚園児を、机と椅子しかない部屋に通します。
机の上には皿があり、マシュマロが一個だけ載っています。

そして、連れて来た大人はこう言って部屋を出て行きます。

「私はちょっと用がある。
マシュマロは君にあげるけど、私が戻ってくるまでの15分間、
食べるのを我慢できたらマシュマロをもう一つ君にあげる。

でも、待てずに食べてしまったら二つ目はなしだよ」

残された子供たちの様子は、隠しカメラで記録されました。

すぐに食べてしまう子もいれば、マシュマロをじっと見つめたりなでたりする子もいます。
あるいは目をふさいだり、後ろを向いたりしてマシュマロを見ないようにする子もいました。

結局、大半の子供は誘惑に勝てずに食べてしまいます。

最後まで我慢できた子供は全体の1/3しかいませんでした。

当初、「自制心」の研究でしかなかったこの実験が、驚くべき意味を持つことが判明するのは
それから18年後のことです。

追跡調査の結果、二つのことがわかりました。

一つ目は、子供の時の自制心がその後もずっと継続していること。

そして二つ目は、マシュマロを我慢できた子供たちの方が、周囲の人から高い評価を得ているケースが多いことです。

大学進学適性試験の結果を見ると、我慢できたグループの方が圧倒的に得点が高いのです。

これから分かることは、将来のことを考えて、今の辛い状況に耐えることのできる人が、成功する確率が高いということです。
そこで、ミッシェルはこう結論づけました。

「将来のIQに影響を与えるのは、子供の頃の自制心である」と。

さらにその23年後にも追跡調査が行われ、この傾向がなおも継続していることが確認されます。

まさに「三つ子の魂、百まで」。

ところで、その自制心とやらは、どうやって身につければいいのでしょう。

そのヒントは、隠しカメラの映像にありました。

マシュマロをじっと見つめたり、なでたりする子供はみんな我慢できませんでした。

我慢できた子供に共通していたのは、後ろを向いたりしてマシュマロから関心を逸らす行動でした。

これをもう少し詳しく分析してみましょう。

まず第一段階として、自分は今マシュマロを見てはいけないと自覚します。
次に第二段階として、マシュマロとは別のことを考えようとします。

これを一言でいうと「自分が何を考えるかを考える」ということです。

心理学では、このことを「メタコグニション」と言います。

もうちよっとわかりやすい専門用語でいうと、あのお馴染みの「メタ認知」ってヤツですよ。
つまり「メタ認知」こそが、長期的報酬のために短期的報酬を我慢するコツなのです。

似たような実験を、もう一つ紹介しましょう。
あなたは、①か②のどちらかを選べます。

①今すぐ5000円もらえる

②1年後に1万円もらえる

ほとんどの人が①を選びました。

なんとなくわかりますよね。
でも、次の二択はどうでしょう。

①5年後に5000円もらえる

②6年後に1万円もらえる

さっきとは逆に②の方が多くなりました。

タイムラグはどちらも同じ1年なのに。

これは行動経済学で「双曲割引」と呼ばれるものです。

この実験の意味するところは、「人は待ち時間が長くなると合理的な判断ができるようになる」ということです。

この話を会社に置き換えてみましょう。

5年後の売り上げ5000万円か、6年後の1億円かと言われたら、後者の方がいいに決まっています。

でも、今年度の5000万と、来年度の1億だったらどうでしょう?
ちなみに、会社の経営は安泰で、来年度の1億円も絶対確実だと仮定します。

例えあなたが来年度の1億を選んだとしても、あなたの上司はそれを許してくれますか?

目先の利益の方を優先するのではありませんか?

もし、来年度まで我慢するとしても、その間に自分が異動してしまえば、1億円の売り上げは後任者の手柄となってしまいます。
でもこれでは、マシュマロを我慢できなかった子供と同じではありませんか。

たしかに企業というものは、今年度の利益を最大化することを目指しています。

来年になれば、来年度の利益の最大化を目指します。

しかし、目先のマシュマロを追い駆け続けるということは、自転車操業と紙一重です。

株主は、そんなにも目先の利益を望んでいるのでしょうか。
あるいは、ただ単に上司が出世したいだけ?

どこの会社にも「中期計画」という“絵に描いた餅”が飾られています。

しかし、大切なことは「中期計画」を作ることではなく、
「今会社は何を考えるべきか、を考えているか」ということです。

すなわち、今現在大きな利益を稼ぎ出しているビジネスモデルからあえて目を逸らし、
5年後に大きな収益をもたらしてくれるビジネスモデルとは何かを考えて、
そのために今何をするべきかを考えることです。

幼稚園児の場合は18年後に大きな差となって現れましたが、
会社の場合はそんなに長くかかりません。

会社がマシュマロを待てない体質ならば、いくら高IQの優秀人材を揃えても結果は出ませんよ。

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