株式会社ファイブスターズ アカデミー
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以前、ブルーノートの70周年を記念して結成された、ザ・ブルーノート・セブンというグループのアルバムを聴いていた時、
テナーサックス奏者がラヴィ・コルトレーンという人だということに気がつきました。
もしかしたらと思ってライナーノーツを読んだら、案の定あのジャズの巨人ジョン・コルトレーンの息子。
ということは、それまであの名アルバムを一度も聴いていなかったことになります。
そもそも父親というのは、母親と比べると随分ぞんざいに扱われているような気がしてなりません。
えっ?
でも、データによれば、母の日の経済効果は父の日の1.3倍でしたよ。
まぁ、父親の不遇話はひとまず置いといて、ウィスキーの世界で父親を超えようとした男たちの話をしましょう。
赤い封蝋レッドトップでおなじみの『メーカーズマーク』。
その名の通り黒い封蝋です。
2004年に日本限定で発売されましたが残念ながら大ヒットにはつながらず、そのうち終売となってしまいました。
ところが同じ赤と黒でも、スコッチではちょっと事情が異なります。
私が生まれた頃の値段を今の価値に換算すると、40万円くらいになるそうです。
60年間で価格が1/200にまで下がった商品なんて、他に聞いたことがありますか?
ジョニーウォーカーは、『ジョニ黒』で大成功を収めたわけですが、ここにも父親を超えようとした男の物語がありました。
まず、誰もが驚いたのは四角くスリムなボトルです。
こんな粋な演出を、なぜ今まで誰も思いつかなかったのでしょう。
モデルは創業者のジョン・ウォーカーではないかという人もいますが、
誇り高きスコットランド人があんな格好をするはずがありません。
イングランドとスコットランドは、今でこそイギリスという一つの国ですが、
過去には血で血を洗う殺戮の歴史を繰り返してきました。
1745年、チャールズ・スチュワートが、スコットランドの独立をかけた最後の聖戦に挑みます。
快進撃を続けた一行は、マンチェスターを越えてロンドンまであと少しというところまで迫ります。
しかし、この快進撃が却って仇となりました。
時のイングランド国王ジョージⅡ世の反撃を受けると、戦況は一転。
後は、坂道を転げるような敗走が延々と続きます。
ところが、勝利を手にしたはずのイングランド軍は、追撃の手を緩めることなく執拗にジャコバイトを追いかけました。
狙いはただひとつ。
文化を絶たれ農地を失い、散り散りになってひたすらハイランド中を逃げ回るジャコバイトの残党が、
生き延びるための頼みの綱としたのがウィスキーの密造でした。
ハイランドの農民たちもまた、死刑を覚悟で彼らを匿っては大麦を提供したのです。
当時のイングランド紳士たちは、野蛮な属国であるスコットランドの酒には全く興味を示しませんでした。
ただ、少しだけ彼らを弁護するならば、
その頃のウィスキーは、お世辞にも「おいしい」と言える代物ではなかったことも事実です。
ウィスキーがおいしい酒になったきっかけもまた、イングランドがもたらします。
スコットランドから税金を毟り取ろうとして、ウィスキーに重い税金をかけたのです。
密造者たちは、摘発を逃れるために、さらに人里離れた奥地へと向かわざるを得ませんでした。
しかも、あまりに過酷な環境ゆえ、死んだ植物を分解する微生物さえも生息できませんでした。
彼らは、水とピート以外は何もないという状況の中で、一からウィスキー作りを始めなければならなかったのです。
ところが、これが思いもよらない結果をもたらします。
奇跡はなおも続きます。
もし、イングランド軍がジャコバイトの皆殺しに固執しなかったら、
また身勝手な増税策を実施しなかったら、おいしいスコッチはこの世に生まれていなかったかもしれません。
話をジョニーウォーカーに戻しましょう。
実は、四角いボトルも斜めのラベルも、そしてストライディングマンのイラストさえも、
すべて創業者亡き後に、アレキサンダーたちが考え出したものなのです。
一方、ブレンダーの才能の方は隔世遺伝しました。
その渾身の作品が、『ジョニー・ウォーカー レッドラベル』、すなわち『ジョニ赤』です。
そうなのです。
スモーキー・フレーバーを効かせた『ジョニ赤』は、確かに至高の一品ですが、
私には『ジョニ黒』の方に一日の長があるように思えてなりません。
他にも金ラベルや青ラベルをラインアップに加えたジョン・ウォーカー&サンズ社が、
マーケティングのターゲットに選んだのは“世界”でした。
七つの海を制覇した大英帝国。
かつて、祖国を滅ぼした憎っくきイングランドの象徴を逆手にとり、今度はビジネスの世界で一矢を報いたわけです。
今回は、父親を超えることにチャレンジした男たちの物語でした。
まぁ、父親を超えるとか超えないとかはどうでもいいけど、せめて父の日のプレゼントくらいはくれないかな。
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