株式会社ファイブスターズ アカデミー
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最近、テレビ画面の一部に、視聴者のツイッターが流れる番組をよく目にします。
どんなことをつぶやいているのか見ていると、ほとんどが感情的な内容でしっかりした論理を展開しているものは皆無です。
しかし、中には感情論までにも至らず、まるで脊髄反射のような薄っぺらいものさえあります。
見ていて、「ああ、この人はこんな意見なんだ」と解釈すれば、それで終わりです。
まさに発言を「見る」です。
その最たるものがトランプです。
彼の発言には、思考の痕跡が全く見られません。
大衆は、彼の発言が正しいかどうかなどはおかまいなしに、ただ歯切れが良いというだけで拍手を送る。
この繰り返しが延々と続き、ついにトランプは大統領候補にまで登り詰めました。
ヨーロッパの国々も同様です。
扇動された大衆の前にあっては、「思考」とか「ロジック」は無力です。
このような理性を失った感情論が、一見ロジック風の衣を纏った愛国主義と結びつけば、
第二次世界大戦直前とよく似た状況になるのは容易に想像できます。
ツイッターに象徴される「思考停止」傾向が、全世界に蔓延しているように見えるのは私だけでしょうか。
ところが日本では、ツイッターどころかマスメディアが「思考停止」の推進役を担ってしまいました。
メディアがこぞって都知事の“せこさ”という人間性の問題にスポットを当てて、
家族旅行やチャイナ服の話題を連日面白おかしく報道してくれたおかげで、日本列島あげて大盛り上がり。
最終的に都知事が辞任を発表したことで、多くの人が憂さを晴らしました。
しかし、これでよかったのでしょうか。
そうではありません。
過去には、愛人の洋服代はおろか、愛人の経営するクラブへの支払いに政治資金を充てていた政治家もいました。
政治資金の使い道に唯一制約があるのは、小沢一郎の問題をきっかけに
不動産を買うのはやめましょうとなった程度です。
たしかに、サラリーマンが一生懸けて手に入れるマイホームまで、
いとも簡単に政治資金で手に入れられたらたまりませんよね。
なぜこんなザル法ができたのかというと、政治資金を自由に使いたい政治家が立法した法律だからです。
曰く「泥棒を取り締まる法律を泥棒が作った」
実にわかりやすい説明ですよね。
ここに立法制度の難しさがあります。
この騒動の最中、それを思い知らされる出来事がありました。
この理由に納得した富山市民がどれくらいいるのか知りませんが、
条例というのは地方公共団体が定めることのできる自主法です。
これこそ、議員が自分に有利なように法律を改正した典型例と言えるでしょう。
今年の3月に可決された名古屋市議の報酬に関する条例の場合は、
年額800万円を一気に1455万円まで引き上げるというものでした。
ちなみに、名古屋市と似たような規模のパリ市の議員報酬は、たったの600万円だそうです。
話題の東京都はどうでしょう?
もちろん、それに加えて政務活動費が720万円支給されます。
ところで、この富山市の件で私がもっとも驚いたのは、市議による暴行事件の方です。
自民党市会議員のドンなる人物が、自民会派控室で取材していた女性新聞記者を押し倒して、
彼女が議員に対して行っていたアンケートの回答用紙を奪い取るという暴挙に出たのです。
当然記者は、暴行と窃盗の疑いで警察に被害届を出しました。
そのときの釈明記者会見で、ドンはこう言い放ったのです。
「取材は不法である」
不法とは、いわゆる「違法行為」を指します。
話を舛添都知事に戻しましょう。
なぜあそこまで頑張ったのか、その理由は明白です。
政治資金の問題を過去に徹底的に研究していたからこそ、「この程度の金額で辞職に追い込まれるとしたら、
日本の政治家の大半は失職するはずだ」という読みがあったのです。
それを象徴していたのが、舛添都知事が辞職を決めた日の都議会議員へのテレビ・インタビューです。
なぜでしょう?
だから、堂々とテレビに出ることができるのです。
逆の見方をすると、共産党以外の議員は、多かれ少なかれスネに傷持つ人がいるのかもしれません。
あるネットメディアによれば、都議会というのは利権の巣だそうです。
なぜマスメディアは、政治資金規正法や利権の問題には目を瞑り、
舛添都知事の“せこさ”にだけ徹底してスポットライトを当てたのでしょうか。
それは、その方が視聴者が喜ぶからです。
マスメディアこそ、「ポピュリズム」そのものだったのです。
ある意味、トランプの極論に拍手している支持者たちよりも、たちが悪いと言えましょう。
日本では、こんな大問題が起きても、政治資金規正法を変えようという声はほとんど聞かれません。
ともあれ、お祭りは終わりました。
ある報道番組のキャスターが、実に奇妙な発言をしていました。
うやむやにするのは一体誰でしょう?
それは番組制作者です。
家族旅行のホテル代やチャイナ服代はうやむやにしなかったくせに、
もっと重要な問題についてはどうやら闇に葬るつもりのようです。
ただ光明もあります。
せめてこれらの番組は、ツイッター化することなく、政治家として本来あるべき姿を、
真剣に論議する場であってほしいと願っています。
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