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5☆s 講師ブログ

課長はつらいよ

昨年の12月に『課長の悩み』というプログを書きましたが、
その元ネタである産能大の課長意識調査について、最新版(2015年調査)の速報がアップされました。

朗報がありました。

プレイヤーの割合が半分以上という課長が少し減ったことです(48%→40%)。

プレイヤーの仕事の割合は20%~40%くらいという課長がもっとも多く、全体の3割を占めます。

ちなみに、プレイヤーの仕事は全くしていないという課長は1.4%しかいませんでした。
みんな、何らかの手仕事は持っているのですね。

ところで今回のアンケートでは、3年前と比べて職場がどう変化しているかについても質問しています。

「業務量が増加している」がトップ(54%)で、以下「成果に対するプレッシャーが強まっている」(41%)、
「職場の人数が減少している」(34%)と続きます。

仕事とプレッシャーは増えるばかりなのに、人は減らされるばかり。

これは、日本中のほとんどの職場が実感していることではないでしょうか。

そして、第5位には「仕事の納期が短期化している」(24%)。

これらから、とにかく目が回るほど忙しい職場の状況が浮き彫りになってきます。
その結果、第4位の「職場の人間関係が希薄化している」(25%)事態となり、殺伐とした雰囲気さえ窺えます。

これからまた3年経ったら、アンケートは一体どうなっているでしょう。

「仕事とプレッシャーが増える一方で、人は減らされる」という傾向が変化するとは思えません。

そして、その傾向の行く末が垣間見えています。

「メンタルヘルスに不安を感じたことがある」という課長が43%もいるのです。

課長は悩んでいます。
しかも「仕事の相談相手がいない」(50%)ため、課長は孤独です。

私は常々思うのですが、日本の会社の屋台骨を支えているのは課長クラスではないでしょうか。

どんなに役員や部長が立派な人物でも、彼らにできることは方向性を示すことだけです。
その示された方向に向かって実際に舵を切るのは、現場を仕切っている課長の仕事です。

その課長という舵が、ずいぶんと磨り減ってしまっているような気がしてなりません。

なぜなら、エンジンである課員達のカバーもしなければならないからです。

エンジンの一部に不具合があると出力は落ちます。

ですので課長は、今度はエンジンの一部となって出力アップにも貢献しているのです。

舵もエンジンも・・・
疲れるはずです。
磨耗するはずです。

「イキイキと働いている」と答えた課長は6割しかいませんでした。

逆に言えば、なんと4割がイキイキしていないことになります。

いつからこんな事になってしまったのでしょう。

私が入社した頃の課長は、午前中はコーヒーを飲みながら新聞を読んでいました。

ずいぶんヒマそうですよね。

そして午後になると部下達に矢継ぎ早に指示を与え、定時を少し回った頃にはもう飲みに行っていました。

なんと不真面目な!

でも、一概にそうとも言えないのです。

というのは、その飲む相手というのが、指示された資料を手にして、
後で部下が説明に向かう先の課長だったりするのです。
つまり、部下の説明がスムーズにいくように、ちゃんと根回しをやってくれていたのです。

時にはその飲みの席に呼ばれて、他部署の課長のご高説をかしこまって聞くこともありました。

この人脈が、後でどれほど役に立ったことか。

昔の課長は、目の前の手仕事は部下に任せきりで、自分はもっと高いところから全体を見渡して仕事をしていました。

一言で言えば、「虫の目」仕事はせずに「鳥の目」仕事に徹していたということです。

もちろんその中には、部下育成も含まれています。
このような「鳥の目」を養っておくことが、やがて部長に昇格したときにモノをいうのです。

それに比べて今の課長はどうでしょう。

「虫の目」仕事に日々追われる肉体労働者です。
部下と一緒に汗を流して、エンジンの一部として地道な仕事に取り組みます。

しかし、はたして部下はそれをありがたく思っているでしょうか。

決してそうではありません。

部下のホンネはこうです。

「そんなことよりも、オレたちが汗をかかなくて済む様に、
もっと効率化だとか根本問題を解決するような仕事に取り組んでほしい」

そうです。

部下が課長に期待しているのは、「鳥の目」仕事なのです。

ではなぜ、課長はそれに取り組もうとしないのでしょうか。

忙しいからでしょうか。
いいえ、違います。

その方が楽だからです!

誰だって、昨日やっていた仕事を今日も引き続きやることの方が気が楽です。

頭を使って新しい事を考えるよりも、手を使ってルーティン作業をこなしていた方が精神的にどれだけ落ち着くことか。

一方、「鳥の目」仕事は大変です。

テキストがありません。
考え抜いて出した答えが、本当に正しいのかどうかもよくわかりません。
実行するには勇気も要るし、当然反対にもあうでしょう。

こんな面倒な仕事より、答えが明確な目先の実務に専念したほうが楽に決まってます。

なにせ、何も考えず作業マシーンに徹すればいいのですから。
かくして、プレイング・マネージャーならぬ、“マネジング・プレイヤー”の一丁あがりとなるわけです。

そう考えると、昔の課長の方が厳しい立場にあったのではないでしょうか。

なぜなら、新しい事に取り組むことなく、与えられた課の仕事をミスなくこなしているだけでは、
“怠慢”というレッテルを貼られかねないからです。

昔の課長は頭が疲れました。
今の課長は肉体が疲れます。

しかし、それでも6割近い課長は、「部長以上に出世したい」と前向きに答えています。

もしかしたら、部長になればプレイヤーから完全に足を洗えるからでしょうか。

でもそうなるためには、「鳥の目」仕事をこなせることが必須条件であることを知っておく必要があります。

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