株式会社ファイブスターズ アカデミー
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流行のアドラー心理学を読むと、なるほどと納得させられることが多くあります。
例えば、すべての感情は何か目的があって作られるという話です。
こんなケースを考えてみましょう。
部下が初歩的なミスをしたので、あなたが怒鳴ったとします。
普通に解釈すると、部下がミスをしたことが原因で「怒り」という感情が引き起こされたと考えますよね。
ところがアドラー心理学は、その「目的は?」と問いかけるのです。
「いやいや、目的なんかないよ。ただ単に部下がミスをしたから怒ったんだ」
とあなたは答えます。
しかし、その答えは間違っています。
あなたには何らかの目的があったはずなのです。
例えば、部下を完全にコントロールできていなかったから怒鳴ったとすると、
あなたには「上司の力を見せつけたい」という目的があったのです。
もし、こんなミスを見逃したら、部長からオレが無能だと思われるだろうというのなら、
あなたには「出世したい」という目的があったことになります。
いやそうではなくて、そのミスをカバーするのに結構手間隙がかかるから、
それで腹を立てたのだと言う人もいるでしょう。
その人は「忙しい現状を改善したい」と思っているのに、それが阻害されたから怒っているのです。
つまり、「仕事を効率化したりミスをなくすというテーマを、もっと組織に徹底したい」という目的があります。
いかがですか?
そう考えると、怒る背景には自分でも気づいていない
何らかの目的が隠されていることがわかりますよね。
さらにアドラー心理学では、あなたはその目的を達成するために
「怒りという感情を“捏造”したのだ」と解釈するのです。
つまり怒りというのは、あなたが思っているような根源的なものではなくて、
ある目的達成のために都合よく“捏造”されたものであるというのです。
ウソではありません。
その証拠に、もし「部下の行動を改善する」ことが目的ならば、もっと他の方法があったはずです。
部下の行動を改善するためには、怒鳴るという方法論が最善だと考える上司はいないでしょう。
この「目的は何か?」と考える癖をつけることは非常に重要です。
というのは、アドラー心理学が提唱する「感情と行動を切り離した」後の、
次にとるべき行動を考えるのに有効だからです。
以前、『瞬間湯沸器』(2015年7月)の回で、
カッとなったときは5秒かけて花の名前を5つ思い出すという方法を試みて失敗した話を書きました。
そこで次善の策として、とりあえずその場からいったん離れて、
トイレに行くことでようやく冷静さを取り戻すことができたことも話しました。
そのトイレに行ったときに、「今自分は腹を立てているが、その目的は何だろう?」と自問してみてください。
とりあえずその場を離れることで、感情から距離を置くことはできます。
しかし問題はその後です。
感情の嵐をいったん鎮めた後で、「目的は何か?」と問いかけることによって、
次になすべきことが見えてくるのです。
今回の例でいうと、本来目的とするべき「部下の行動を改善する」というテーマに思い至るはずです。
そして次に、「その目的達成のためにとるべき行動は何か」ということに考えが及ぶのです。
感情に流されてはいけないことは百も承知していますが、
わかっていてもなかなかできないのが管理職というものです。
なぜできないのでしょう。
それは責任が重いからです。
管理職は「成果を上げなければならない」、「ミスを犯してはならない」というプレッシャーと毎日戦っています。
もしも責任がなかったら、腹は立たないはずです。
責任感の強い管理職ほど腹を立てるのです。
しかし、腹を立てたからといって、怒鳴りつけたからといって部下の行動は改善されません。
すべては「部下の行動を改善するために!」です。
そこにフォーカスしましょう。
そのために何をするべきかを考えましょう。
その日その時の感情に任せて行動した場合と、
「部下の行動を改善するために!」を意識して行動した場合とでは、
1年後の部下の姿はずいぶん違ったものになるはずです。
ついつい、その目的を忘れてしまうという人は、
大きな付箋に朱書きしてパソコンのモニター画面に貼り付けておいてください。
もしかしたら、その付箋を目にした部下の行動も変わってくるかも知れませんよ。
まずは、1年後にその行動が大きく変わった部下の姿をイメージしてみましょう。
どうです、結構ロマンのある話だと思いませんか?
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