株式会社ファイブスターズ アカデミー
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誰もが知っている伝統ある大企業で、大規模な不正会計が行われていました。
しかも、代々にわたりトップが直接指示していたと言うではありませんか。
零細なオーナー企業ならまだしも、高学歴の人が大勢集まる優良企業で起こった不祥事に世間は大変驚きました。
実は、優秀な人材が多く集まって議論をしても、
必ずしも最適な決定を下すわけではないという研究があります。
わかりやすく言うと、IQの高い人たちが集まっても、
そのグループのIQが高くなるわけではないということです。
カーネギーメロン大学のアニタ・ウーリーと、MITのトーマス・マローンの報告です。
まず、18~60歳の男女699人に事前にIQテストを実施して、個人個人のIQレベルを把握しておきます。
その後、ランダムに2~5人のグループを作り、
ブレイン・ストーミング、意思決定、視覚的パズル、さらには複雑な問題を解かせます。
この成績をグループIQと考え、各メンバーのIQとの相関を調べました。
すると驚くべきことに、相関関係が全くなかったのです。
メンバーのIQの平均値が高かったり、IQが図抜けて高い人がいたとしても、
グループ全体の成績はよくならないのです。
なぜなのでしょうか。
実験結果を精査したところ、面白いことがわかってきました。
まず、グループメンバーの男女構成です。
不思議なことに、グループに女性が入るとグループIQは高まりました。
しかも、女性が半数以上の場合、そのグループIQは平均より高くなるという結果が出ました。
最近、企業ではダイバーシティが叫ばれていますが、
まさに女性管理職の登用などは、理にかなっていると言えましょう。
これは恐らく、女性の価値観が男性とは異なるからではないでしょうか。
企業戦士ばかりの会社では、その価値観は概ね「出世競争」に収斂していきます。
しかし女性の場合は、「出産」や「育児」など、企業戦士とは異なる様々な価値観を持っています。
このことが、組織としての健全なバランスを保つのに一役買うのではないでしょうか。
他にも、グループIQに影響を与える要素が二つあることがわかりました。
一つは、グループの社会的感受性の平均値です。
社会的感受性とは、グループの中での対人行動のために、メンバーの相互作用を考えたり、
自分が周りからどのように認知されているかや、自身の発言がどう受け止められるかについて気づく能力です。
これを高めるためには、自分を客観視できることが絶対条件となります。
そして、もう一つ影響を与えていたのが、メンバーの発言の順番などの平等性の度合いでした。
発言を平等にすることがいかに難しいかについては、サラリーマン経験がある人ならよくわかるはずです。
一般に企業の会議において、役職に関係なく自由闊達に意見交換がなされる、などということはほとんどありません。
役職の高い順に似たような発言がいくつか続くと、反対意見は自動的に封印されてしまい、
意思決定はだいたい完了となってしまいます。
参加者たちの本音が吐露されるのは会議の中ではなく、会議が終わって廊下に出たときです。
この二つの要素と、先ほどの女性がいることという要素を考え合わせると、
グループIQを高めるための条件は次のようなものになります。
「様々な価値観を持った人間が集まり、お互いに尊重し合って、
自分の発言が周囲にどう受け止められるかを十分考慮しながら、
各自が自由に発言できる環境がキチンと確保されること」
口で言うのは簡単ですが、実現はほぼ不可能ではないでしょうか。
まず、企業戦士の価値観は「出世競争」で統一されています。
その価値観から解放されて、自分を客観視できるようになるのは、競争からドロップアウトしたときくらいのものです。
そして決定的なのは、日本企業の場合どんなに近代的な人事制度を整備したところで、
最終的には「上司の引き」が昇進を決定する構造になっています。
ですので、出世を意識している限りは、上司の指示には黙って服従した方がよいという判断を下さざるを得ません。
逆に言うと、上層部にとって企業戦略を徹底するための最も効率的な方法は「上意下達」ということになります。
これこそまさに、今回の企業不祥事の構図そのものではありませんか。
と、ここまで書いてきて重要なことに気づきました。
企業組織のあり方を論じていたはずなのに、いつの間にか軍隊組織を論じているような気がしてきました。
今回の不正会計の問題も、戦時中の大本営体質の名残りと考えれば納得がいきます。
大本営のトップである作戦部のメンバーは、海軍大学校と陸軍大学校の成績が
それぞれ5番以内という超エリート集団でした。
そして、もちろん女性はいなくて、全員が武勲をたてて勲章をもらうことを目指していました。
今回の事件は「上意下達」の命令内容が、戦闘ではなく不正事務処理に変わっただけの話です。
途中から全員が間違いであることに気づいていながら、
誰一人勇気をもって中止を口にすることができなかった点などもそっくりではありませんか。
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