株式会社ファイブスターズ アカデミー
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おそらく、2:8のパレートの法則から派生したものと思われますが、
マネジメントにおいては2:6:2の法則のことがよく話題になります。
まず2:8のパレートの法則から見ていきましょう。
これは、全体の2割が8割の影響力を持っているということです。
例えば、ショップで言うと、2割の売れ筋商品のもたらす売上が全体の8割を占めます。
また、顧客の2割に当たる常連客の購入金額が、売上全体の8割を占めています。
営業マンで言うと、2割の優秀営業マンの業績が、組織全体の数字の8割を占めています。
まあ、厳密に言うと2:8ではなく3:7のケースもありますが、概ね当てはまります。
ちなみに最近の調査によると、日本では飲酒量の多い上位2割の”飲んべい”たちが、
アルコール飲料全体の7割を消費しているそうです。
もしかしたら、あなたもその貢献者のひとりでは?
ただし、富の偏在という問題に関しては、どうやらこの法則は当てはまらないようです。
アメリカの政府統計によると、3%の富裕層が全体の半分の富を保有しています。
世界全体では偏在はもっと進み、ある国際支援団体の発表では、
世界の富の半分はたった1%の人々に集中しているそうです。
そういえば、2011年の「ウォール街を占拠せよ!」のデモに参加した
失業中の若者たちが掲げたスローガンは”We are the 99%”でした。
ところで、マネジメントの世界では、2:6:2の法則の方が有名です。
組織の規模に関係なく、上位2割は非常に優秀。
真ん中の6割が平均的で、下位2割が落ちこぼれとなります。
この順位づけは相対的なものですので、組織全体が優秀人材ばかりであっても
自ずとこのような割合に分離されます。
さて、この時管理職は、どの階層に重点を置いたマネジメントを心掛けるべきでしょうか。
時々、上位の優秀層をもっと伸ばしたいという意図で、この層を対象にした研修を実施する企業があります。
その背景には、この優秀層から将来の経営を担う人材が出てほしいという思いがあります。
実際には、研修の参加者はもっと絞り込まれて1割以下となることもあります。
ただし、この考え方の底流には「上位層以外はもう伸びない」と言う先入観があるのでないでしょうか。
もしそうだとすると、この手法は論理矛盾を含んでいると言わざるを得ません。
なぜなら、この優秀層から次の経営陣が生まれたとしても、彼らが牽引しなければならないのは
全体の8割を占める“伸びしろが期待できない層”だからです。
そして、さらにまた次の世代の2割の上位層の中から、次世代の経営候補を探すのです。
永遠にこれの繰り返しです。
この経営手法が機能するのは、ビジネスモデル自体が数年単位で大転換する、
例えばゲームソフトのような業界だけでしょう。
私は、上位層のみを対象に研修を実施することには反対です。
なぜなら、上位層の優秀人材は放置しておいても伸びるからです。
彼らは研修の機会など与えられなくとも、自分で本を読んだり
社外のセミナーに出かけたりして独学で成長していきます。
しかも、最も成長するのは研修などではなく、管理職から一つの仕事を全面的に任された時です。
問題解決の手法など教わらなくても、自分で調べ上げて物事を前に進めていくだけの力があります。
ですので、彼らに必要なのは机上のケースメソッドなどではなく、実践による経験値の積み上げです。
一方、下位層に対して研修を行う企業はほとんどありません。
やはり、効果性に問題があるからでしょう。
下位層は懇切丁寧に手法を教えても、なかなか実践に移せません。
実践させるには、これまた懇切丁寧に付きっきりで手取り足取り指導しなければなりませんので、
確かに効率が悪いと言わざるを得ません。
マネジメントでも、下位層に重点を置いた運営をするという管理職が少ないのも頷けますよね。
私がもっとも重視するのは6割の中位層です。
研修やマネジメントは、この層をターゲットに行うべきです。
なぜなら組織内でのボリュームが大きいからです。
なにせ全体の6割も占める多数派です。
もしも彼らが、その能率を10%向上させたらどうでしょう。
集団の6割が10%能率アップする事は、組織全体では5%以上のアップとなります。
と口で言うのは簡単ですが、いざ実際にマネジメントで実行するとなると難しい。
まず手始めに、日常の会話を検証してみましょう。
あなたが、管理職だという前提でお伺いします。
誰と最も多く会話していますか?
上位層ではありませんか?
と言うのは、彼らは自ら進んで積極的に質問や相談に来るからです。
中位層や下位層はほとんど来ません。
こちらから声を掛けないと、ほぼ会話することなく1日が終わることもしばしばです。
そうです。
この層には、あなたから声を掛けないといけないのです。
管理職から声を掛けられたということは、彼らにとっては「承認」されたということです。
存在を認めてもらったということです。
彼らは、あなたから声を掛けられるまでは、職場では幽霊のような存在です。
いるのかいないのか、よくわかりません。
中には、あえて管理職と目を合わせないようにしたり、意識的に気配を消している人もいます。
彼らは、上司から声を掛けられて初めてその存在が認められるのです。
これだけでも、モチベーションは十分上がります。
しかも、「君に期待している」などと言われた日には、やる気が溢れ出てきます。
いつになく目が輝き出したりします。
中位層に重点を置いたマネジメントとは、そういうことです。
これを毎日全員に、とまでは言いませんが、できるだけ頻繁に繰り返すことです。
そして、中位層が頑張るともっとも刺激を受けるのが上位層です。
また、もしかすると下位層の中にも見よう見まねで成果を挙げる者が出てくるかもしれません。
これが「チーム」というものです。
心理学では、「チーム」という言葉には、キチンとした定義があります。
それは、「シナジー効果が見られる」ことです。
シナジー効果が見られないのは「チーム」とは言いません。
では何と言うのでしょうか。
「集団」です。
あなたの組織は「チーム」ですか?
それとも「集団」ですか?
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