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5☆s 講師ブログ

瞬間湯沸器

あなたの会社に、“瞬間湯沸器”はいませんか?
まあ、“瞬間”とまではいかなくても怒りっぽい人や、よく怒鳴る人は結構いるものです。

私も昔はそうでした。
その頃の言い訳はいつも、「俺って短気だから」でした。
確かに気が長い方ではありませんが、本当に性格の問題なのでしょうか?
ちょっと検証してみましょう。

論理構成はこうなります。
「短気」という性格が、「カッとなる」という感情を引き起こし、さらにその感情が「怒鳴る」という行動を引き起こす。
つまり、性格(短気)→感情(カッとなる)→行動(怒鳴る)という連鎖です。

一見説得力があるように思えますが、本当でしょうか?
最近ブームになっているアドラー心理学では、この仮説は完全に否定されています。
この仮説のどこが間違っているかと言うと、感情と行動は別々のものだと教えているのです。

しかし、そう言われても、すんなり認めるには抵抗を感じてしまいます。
「カッとなる」という感情と、「怒鳴る」という行動は、はたして別々のものとして切り離せるものなのでしょうか。
私は、カッとなると怒鳴りたくなります。
その衝動を抑えるのは難しいように思えます。

アドラーはこう考えました。
例えば、その時ナイフを持っていたらどうでしょう。
カッとなると、必ず「刺す」という行動に出るでしょうか。
出ませんよね。
「刺す」という行動は抑えますよね。

つまり、感情と行動の間にはスイッチがあって、そのスイッチがいつもオンになっているわけではないのです。
どんなに感情的になったとしても、私たちはちゃんと、行動のスイッチをコントロールしているのです。

そもそも、大本(おおもと)である性格を変えることは、極めて難しいことです。
そして、次の段階である、感情をコントロールすることも簡単ではありません。
感情をコントロールするためには様々な経験とか、場合によっては精神修行も必要かもしれません。

しかし、行動はトレーニングを積むことでコントロールすることが可能です。
私たちが、カッとなっても人を刺さないのは、刺してはいけないというトレーニングを、
親や学校から受けてきたからです。
たとえ、直接そのように教えられたことはなくとも、他人の行動を見たりしているうちになんとなく学習したのです。

とは言っても、最近は、こういうトレーニングを受けていないとしか思えないような、
凄惨な事件が多くて困ってしまいますが。

何はともあれ、瞬間湯沸器と言われないためには、行動をコントロールするためのトレーニングをすることです。
では、カッとなった時に、行動をコントロールする、
すなわち怒鳴るという行動をとらないようにするためにはどうしたらいいのでしょうか。

心理学者の報告によると、どんなに激しい怒りの感情でも、せいぜい5秒くらいしか持続しないそうです。
ですので、5秒間だけ怒鳴るのをがまんできれば、後は冷静に対応できるということになります。

しかし、この5秒間が結構むずかしい。
ある人は、ゆっくりと花の名前を5つ思い浮かべなさいと言います。
やってみました。

部下が「すみません、ミスしてしまいました」と報告に来たら、
「ごらぁ!一体何回言ったらわかるんだ!!」と怒鳴る前に、おもむろに深呼吸をひとつします。
次に、視線を外して斜め上を見上げます。

そして心の中で「バラ、ひまわり、タンポポ、・・・(ムムッ、出てこない・・・)」
これは口で言うほど簡単ではありませんでした。

そこで、もっといい方法を見つけました。
それは、一旦その場を離れることです。

とりあえずトイレに行きましょう。
ちょっとトイレに行って帰ってくるだけで、かなりの冷静さを取り戻すことができます。

それどころか、問題の原因を究明する方法も思いついたりします。
場合によっては、打つべき対策もイメージできます。
もしかしたら、ミスをした部下をこれからどうやって育成するかまで閃くかもしれません。

もちろん、すぐにすべてうまくいくという訳ではありません。
トイレに立つより先に、条件反射でとっさに怒鳴ってしまったこともありました。
でも、努力しているうちに、何回かはできるようになります。

10回のうち3回できれば、やがて5回はできるようになります。
5回できれば、7回できるようになります。
7回できれば、周りの人はこう言います。
「人が変わったようだ」

人は変わっていません。
性格は前と同じです。

では、何が変わったのでしょうか?
行動が変わったのです。

そうです。
すべては行動です。

そもそも人事考課というものは、行動による結果で評価されます。
もしも、性格がよいという理由だけで高い評価を得られる会社があれば、ぜひ見てみたいものです。

ところが、これが「性格」ではなく、「能力」となると、とたんにあやしくなります。
潜在能力が高いというだけで、高く評価されることがあります。

間違えてはいけません。
会社で評価される能力は、「潜在能力」ではなく「顕在能力」です。
顕在能力とは、実際に発揮された能力のことです。

具体的に言うと、その人の持っている能力が、目に見える形の行動となって表出し、
その結果会社に利益をもたらすことです。

だから、すべては行動なのです。
部下の能力を伸ばすと考えると結構大変ですが、
能力ではなく行動にフォーカスして考えると、指導方法は自ずと見えてきます。

部下の行動を変えることは簡単です。

もし、部下の行動を変えることも難しいと感じている管理職の人は、まず自分の行動を変えてみてください。
あなたの接し方や、指導方法を変えてみてください。

なぜなら、部下の行動が変わらない原因は、あなたの行動にあるからです。
部下がミスする度に怒鳴る、という行動を繰り返していてもミスはなくなりません。
そうではなく、あなたの行動を変えてみませんか。
例えば、なぜ失敗したのかを尋ねて、
とことん本人に原因を考えさせてみてはどうでしょう。

今日の結論です。
部下を指導すべき点はあくまで行動であり、上司の改善すべき点もまた行動なのです。

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