株式会社ファイブスターズ アカデミー
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いつの頃からか、若者達が「自分らしく」を主張し始めました。
昔は、会社に入るということは、その会社の“型”に自分を合わせることを意味しました。
一日も早く会社の一員になれとか、○○マンにふさわしい行動をとれとか、
まずは組織に自分をアダプトさせることが最優先でした。
しかし、バブルの頃辺りから、自分らしさが発揮出来ないと思われる会社は、
学生から敬遠されるようになりました。
滅私奉公の時代ではないので、自分らしさを大切にすることは重要です。
しかし、私はあえて問いたいのです。
「自分らしさ」って、一体何のこと?
若者達は、自分らしくあるために、様々な労働条件をあげます。
残業が少ないこと、休日出勤がないこと、職場の雰囲気がよいこと等々。
それを否定するつもりはありません。
また反対に、逆境の時こそ成長するチャンスだなどと年寄じみた人生訓を垂れるつもりもありません。
私が問いたいのは、それで守られる、あるいは発揮される自分らしさって、
一体どういうものなのかということです。
もっとはっきり言うと、自分らしさの「自分」とは、具体的に何を指すのかということです。
断っておきますが、私は“キャリア”の話をしているのではありません。
“哲学”の話をしているのです。
福岡伸一はこう問いかけました。
「自分」を証明するものはありますか?
免許証?
そんなもの簡単に偽造出来ますよね。
記憶?
最新の脳科学の研究によって、記憶など簡単に捏造可能なことがわかっています。
では、筆跡?
指紋?
声紋?
虹彩?
それらは確かに私の「属性」ではあります。
しかし、それだけたくさんの「属性」があるなら、属性を作り出した大本(おおもと)の「本性」もあるはず。
では、私の「本性」って一体何?
これは結構、難問ですよね。
福岡が言いたいことは、こういうことです。
私たちは、様々な「属性」を集めてくることでしか、「本性」を示すことができないのです。
つまり私という存在は、周囲を「属性」で囲ってはいますが、
真ん中がくり抜かれた真空のようなものでしかないのです。
これはみんなそうです。
取って付けたような就活用の「自分」を一生懸命アピールする学生も、
それをバカバカしいとは思いながらも、仕事なのでしょうがなく付き合っている面接官も、
みんな「本性」は空っぽなのです。
どちらも、その重要なことに気づかずに、内部に底知れぬ空洞を抱えたまま、
まるで自分が何者であるかのように振る舞っているにすぎないのです。
そう考えると、随分滑稽な話に思えてきます。
しかし、この事実を踏まえた上でもなお、あえて私は問いたいのです。
自分の「本性」って何?
あれこれ考えているうちに、いい方法を思いつきました。
「本性」というものが、「属性」を集めてくることでしか証明できないのであれば、
できるだけ多くの「属性」を集めてみてはどうでしょう。
ただし、ここで言う「属性」とは、指紋や虹彩のことではありません。
周りの人が私を評価する時の「形容詞」のことです。
影をたくさん集めることで、実像が見えてくることだってあるはずです。
いや、もしかしたら、影こそが私の「本性」を投影するスクリーンなのかもしれません。
他人というスクリーンに、私は一体どんな風に映っているのでしょうか。
まずはそれを知ることが、「自分らしく」あるための近道だと思うのです。
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