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5☆s 講師ブログ

成功している生物

もし、知性を持った宇宙人が地球を発見し、もっとも成功している生命体を探したら・・・。
福岡伸一の答えは、意外にもヒトではありませんでした。

ちなみに、ここで言う「成功」とは、
進化のプロセスにおいてもっとも効率よく増殖し、より多くの子孫を残すこと。
生物学的に言うと「自己複製に成功している生物」ということです。

ヒトは個体数約69億、平均体重50キロとして、その存在量は約3.45億トン。
かなり繁栄しています。

ところが、もっと繁栄している生物がいるのです。
存在量でヒトを圧倒しているだけでなく、なんとその存在量を毎年毎年新たに生み出しているのです。
さらに驚くのは、ヒトを奴隷化して自分の世話をさせ、その褒美に一部を食べさせてやっていることです。

答えを言いましょう。
その生物とは、植物のことです。

トウモロコシ、小麦、コメの年間生産量は穀物部分だけで、それぞれ約8億トン、6.8億トン、4.5億トン。
しかも、成長に必要な大量の真水を獲得するために、奴隷であるヒト同士に争いまでさせているのです。
確かに宇宙人が見たら、地球でもっとも成功している生物は植物と思うでしょう。

では、宇宙人が会社を見たらどうでしょう?
もっとも成功しているのは管理職でしょうか?
世間ではそう思われているようですが、存在量で圧倒しているのは一般社員です。

しかし、存在量では多くても、一般社員と植物の間には、決定的な違いがあります。
植物は、存在量の少ないヒトを奴隷のように使って世話をさせていますが、一般社員はそうではありません。
ブラック企業などはむしろ逆で、一般社員の方がまるで奴隷のような構造となっています。

と、ここまで考えてきて、そもそも「もっとも成功している」という視点そのものが
誤りであることに気づきました。

地球上のほとんどの生物は共存共栄しているわけですから、
誰が成功者で、誰が奴隷などという見方は成り立たないはずです。

お互いがお互いのために、それぞれ自分が果たすべき役割を果たしています。
それが、結局は自分の利益になっているのです。

えっ?
植物の中にはヒトの手を借りなくても、勝手に育つものもあるって?

確かにそうですが、収穫量を最大にしようと思ったら、
肥料をあげたり水やりしたりと、あれこれ世話をしなければなりません。

会社も同じです。
一般社員が一生懸命働いて、最大の成果を挙げるためには、
管理職はあれこれ環境を整えなければなりません。
植物同様、肥料や水やりが不可欠なのです。

管理職がひとりで走り回ったところで、大きな成果は上げられません。
ですので、いかにして一般社員を動かすかということは、マネジメント力そのものなのです。

「人を動かす」と言えば、山本五十六の言葉は皆さんご存知ですよね。

「やってみせ言って聞かせてさせて見せ、ほめてやらねば人は動かじ」  

実は、これには続きがあります。 

「話し合い耳を傾け承認し、任せてやらねば人は育たず」 

なるほど、人を「動かす」ことがゴールではなく、人を「育てる」ことがゴールなのだと思ったあなた!
いやいや、まだまだ続きがあるのです。 

「やっている姿を感謝で見守って、信頼せねば人は実らず」

どうですか?
ゴールは人を「動かす」ことでも、「育てる」ことでもなく、「実らせる」ことだったのです。

「動かす」ことをゴールに設定する場合と、「実らせる」ことをゴールに設定する場合とでは、
マネジメントのやり方は自ずと変わってくるはずです。

ところで、あなたの部下はこの1年でどんな実をつけましたか?
また、あなたはそのために、どんな肥料をあげて、どれくらい水やりしましたか?

部下が育たないと嘆く前に、たった5分でいいので、ちょっと振り返ってみませんか。

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