株式会社ファイブスターズ アカデミー
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最近、世間ではリーダーシップ論について、ずいぶんと喧しい議論が湧き起こっています。
リーダーというと、力強くメンバーを牽引していく姿を思い浮かべてしまいますが、
本当にそうでしょうか?
今回紹介する人物は、チリのコピアポ鉱山の現場監督ルイス・アルベルト・ウルスア、
みんなからは「ルイス親方」の愛称で親しまれていた人物です。
2010年8月5日、鉱山の落盤事故により、
地下700mの避難所に33人の男たちが生き埋めになったことが報道されました。
しかし、このニュースが世界中の人々の耳目を集めたのは、その18日後のことです。
地表からドリルで穴を開けて調べたところ、なんと全員の生存が確認されたのです。
この間、絶望の淵の間際で、ルイス親方は大奮闘していました。
まず、食料についての決まりごとを徹底します。
備蓄食料は2日分しかありませんでした。
そこで、1日おきに缶詰をスプーン2杯分と、一口分の牛乳などと定めて全員に守らせます。
次に、各人の役割の徹底です。
一人ひとりに役割を与えて、毎日声をかけます。
しかし、考えてもみて下さい。
地中深い避難場所に閉じ込められて、やるべきことがそんなにたくさんあるわけではありません。
与えられた役割のほとんどは、取るに足らない仕事ばかりでした。
ところが、彼は毎日一人ひとりに声をかけて、変化などあるはずがない状況を繰り返し報告させました。
そして最後は決まって、「ここは君の持ち場だから、しっかりやってくれ」と励まします。
役割を与えられたことにより、組織に対する責任が生じます。
そしてその役割をしっかりこなすことこそが、組織に対する貢献となります。
これだけでも学ぶべきことは多いのですが、私が最も感心したのは、69日後にいよいよ救出されたときのことです。
作業員が直径60cmの一人乗りカプセルで、次々と地上に戻って来るたびに歓声が上がります。
その時ルイス親方は、33番目に姿を現しました。
つまり、全員の無事を見届けてから、最後の最後に持ち場を離れたのです。
思えば4年前の大震災のとき、あなたの職場のリーダーは何番目に持ち場を離れましたか?
部下全員の避難を見届けてから、最後に避難したのでしょうか。
それとも、真っ先に逃げ出したのでしょうか。
リーダーの資質が問われるのは非常時です。
似たようなことが日本でも起きていました。
大正10年、東海道線の熱海-三島間を最短距離で結ぶ「丹那トンネル」を建設中のことです。
抗口から300mの地点で崩落事故が起き、17人が閉じ込められてしまったのです。
空気も少なくなっていきますが、最大の問題は水でした。
豊富な湧き水がどんどん溜まっていくため、このままでは溺死する危険性が出てきたのです。
そこで、散乱している板切れを集めて、高床を作り避難します。
もちろん食料もなかったので、藁を噛んで飢えをしのぎました。
しかし、わずか数日のうちに、冷静さを失って水に飛び込んで自殺しようとする者が現れました。
その時、リーダーが叫びます。
「どうしても飛び込むと言うならまず俺を殺してからにしろ!
俺は野垂れ死ぬまで生き抜く」
この一言で正気に戻ったメンバーは、事故から8日目に全員無事救出されました。
理論上、人間は水さえあれば、食料なしでも1ヵ月間は生き延びることができるそうです。
しかし、たとえ水や食料があったとしても、海難者の90%は3日以内に死ぬことがわかっています。
なぜでしょうか?
ごく少数ではありますが、長期間に及ぶ海難から生還した経験を持つ人たちは口を揃えてこう言います。
「死に追い立てるのは、孤立と絶望である」
空腹や喉の渇きという身体的な要因ではなく、孤立と絶望という精神的な要因が
人を死に至らしめるのです。
リーダーの真価が問われるのは危機の時です。
その時のリーダーの振る舞いこそが、その後の組織のありようを決定づけるのです。
危機の中においても、メンバーを精神的に孤立させることなく、
希望や夢を抱かせ続けることができるかどうかが鍵なのです。
阪神・淡路大震災の際、当時の村山首相は閣僚たちを集めてこう言いました。
「思う存分にやってくれ。私が責任を取る」
これが早期の復興実現の原動力となりました。
しかし、この時の経験や知見が蓄積されることはなく、
16年後の大震災では、私たちはまったく真逆のリーダーを目の当たりにすることになります。
企業では、たかが一部門のリーダー選びにさえ膨大な労力を費やしているにも関わらず、
一国のリーダー選びがこれほど杜撰な国も、世界的には珍しいのではないかと思います。
なにせ、宇宙人が首相をしていたこともあるくらいですから。
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