株式会社ファイブスターズ アカデミー
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随分前のことですが、高校時代の友人たちと蟹を食べに行った金沢のホテルのバーで
メニューリストの中に、この奇妙な名前のウィスキーがあるのを知ってうれしくなりました。
『ウシュクベー』というゲール語は、ウィスキーの語源になったと言われています。
では、その意味はというとなんと「生命の水」です。
どうです、飲みたくなりませんか?
アメリカでも人気の高いお酒で、ニクソンが大統領に就任した時のパーティーでは
公式スコッチとして選ばれたそうです。
モルトの比率が高いので、”とんがった”感じを残しつつもそれでいて実に飲みやすい。
つまり、絶妙なバランスに仕上がったブレンデッド・ウィスキーなのです。
その前日も自宅で飲んだお酒でしたが、迷わず注文してしまいました。
そして酔うほどに、高校時代の思い出話に花が咲きます。
私たちの世代は、中途半端な世代です。
学生運動が華やかだった頃は、まだ中学生。
高校生になったときにはすっかり下火で、社会に対する漠然とした不満はあるけれど
その情熱を一体どこにもっていけばよいのかわからない。
高1の春に、体育館での何時間にも及ぶ団交の末に制服が自由化されました。
ツメエリの学生服は翌日からジーンズに変わったけれど、ただそれだけのことでした。
私たちにとっては、マルクス=エンゲルスでさえも、
所詮は本の中で完結する「内的物語」でしかなかったのです。
そして、やがて、その時は訪れます。
寺山修司の言葉を借りれば、
「ある夏まで、私を熱中させた言葉・・・”革命”」
そうです。
夏が過ぎ、やがて怒れる若者たちは熱病から目覚め、
失意のうちに体制の内側へと帰ってゆくしかなかったのです。
「カクメイ」という言葉は、その後の半世紀で著しく劣化し、
今やJ-POPの薄っぺらな歌詞の中にしか居場所を見つけられなくなりました。
それにしても、今でも不思議に思うのはあの頃は本当に何も怖くなかったことです。
現代の若者たちが、将来に対して漠然とした不安感を抱くのとはきわめて対照的です。
あの時は、なぜあんなにも「怖いもの知らず」だったのでしょう。
その答えは、「そういう時代だったから」という他ありません。
私が、『ウシュクベー』を好きなもうひとつの理由は、ボトルの裏のラベルにあります。
そこには、スコットランドの詩人ロバート・バーンズの肖像画とともに、
彼の代表作『シャンタのタム』の一節が引用されています。
“wi usquae we’ll face the devil”
(ウシュクベーさぇありゃ、悪魔なんかもへっちゃらだ)
かつては、怖いもの知らずだったおじさんたちも、
今では「命の水」の力を借りなければ上司の愚痴一つこぼせないのです。
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