今回は問題2の解説をしますが、念のためもう一度問題を見てみましょう。
【問題2】
カードの片面には「飲み物」、もう片面には「年齢」が書かれていて、次のような規則があるとします。
『飲んでいるのがビールならば、20才以上でなければならない』
今、「ビール」、「コーラ」、「22才」、「16才」の4枚のカードが提示されています。
この規則が正しいことを確かめるに、どうしてもめくらなければならないカードはどれでしょう?
【解答2】
これはカンタンですよね。
「ビール」と「16才」でした。
前回、「4」のところで、裏が子音もありうるという話は推測しづらかったと思います。
しかし、今回は「22才」の人が「コーラ」を飲んでいるかもしれない、
ということは誰でも容易に推測できます。
まったく同じロジックなのに、なぜこのような差が生じるのでしょうか。
ある学者は、この結果をこう分析しました。
数字やアルファベットではなく、私たちの生活に関係のあるワードにしたから正答率が高まった。
そして、これを「主題材料効果」と名付けたのです。
ところが、この説はその後怪しくなってきます。
まずは、問題3にチャレンジしてください。
【問題3】
規則『飲んでいるのがビールならば、もう片面は本でなければならない』
今、「ビール」、「ウィスキー」、「本」、「テレビ」の4枚のカードが提示されています。
めくらなければならないカードはどれでしょう?
【解答3】
もちろん正解は、「ビール」と「本」ですよね。
ところがこの正答率はぐっと下がってしまったのです。
今回も生活に関係のあるワードなのに、なぜ成績が悪かったのでしょう、
どうやら主題の材料が生活に関係があるかどうかには関係なく、
別の思考回路、すなわち何らかのアルゴリズムが働いているようです。
そうなのです。
要するに、問題2では「酒は20才から」というルールに照らし合わせるという思考回路が働いたのです。
この、ルールを破った者をすぐに発見するプログラムのことを、
「裏切り者検知アルゴリズム」と言います。
ではなぜ、このような思考回路が出来上がったのでしょう?
人類は、何百万年もの昔から狩猟生活を営むようになりました。
狩りは集団で行いますので、お互いに協力し合うことが必要となります。
そして、その協力体勢を確実なものにするためには、
お互いに仲間を裏切ったりしない、という一種の「社会契約」が必要となります。
人類は長い間、このような社会契約論に基づいて生活してきたので
裏切り者をすぐに検知するメカニズムが働いているのではないかと考えられるのです。
えっ?
簡単なはずの問題2も、間違えてしまったって?
もしかしてあなた、未成年の頃からお酒飲んでいませんでした?