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5☆s 講師ブログ

伝説のプレゼン

(今回は、予告とは違う内容です。ご了承ください)

2020年の東京オリンピックの誘致が決まった要因は、

素晴らしいプレゼンだったと、マス・メディアがさかんに取り上げています。

日本中が歓喜に沸く前日、私はたまたま馬場康夫氏の本を見つけ買いました。

そこに、1974年12月のあるプレゼンの話が書かれています。
ディズニーランドを誘致しようとした男たちの話です。

当時、デイズニーランドの誘致には三井グループだけではなく、三菱も手を挙げていたそうです。

しかも、すでに表敬訪問を済ませるなど、三井より一歩リードしていました。

それを逆転するべく、帝国ホテルの一室でウォルト・ディズニーの幹部一行を前にそのプレゼンは始まりました。

プレゼンターは、この直前に電通からオリエンタルランドに引き抜かれた堀貞一郎という男です。
事前のリハーサルでは、堀が日本語で話した後、通訳がマイクを通して英語に訳すという段取りでした。
翌日には三菱側のプレゼンが控えていますので、絶対に失敗は許されません。

冒頭、ウォルト・ディズニーのドン・テータム会長があいさつします。

「本来ならば我々が日本語を勉強し、日本語を理解できるようになってから来るべきだったのに
その時間がなく英語でプレゼンテーションしていただくことを、まず最初にお詫びしたい」
見事としか言いようのない社交辞令です。

それを聞いた堀が、何を思ったか、突然シナリオにない行動に打って出ます。

通訳のマイクを奪い取るや否や、身振り手振りを交え早口の日本語でまくしたてたのです。

「成田に旅客機がガーッと降りて、高速道路をビューッとクルマで都心まで飛ばすと・・・」

慌てた通訳は英語で続きましたが、なにせマイクを奪われているため肉声です。

堀の日本語がガンガン響く中で、通訳の英語がディズニー幹部に届いているようには見えませんでした。

ほどなく、テータムが立ち上がって叫びます。

「ストップ!!」

彼は堀の発言を制して立ち上がり
「我々はとんだ間違いをしていたようだ」と続けました。

三井側は凍りつきました。

堀はなんてことをしてくれたんだ!
きっと臍を曲げたに違いない。

テータムは重々しくこう言った後しばし沈黙します。

「さきほど日本語を勉強してくるべきだったといったが、訂正する」

辺りは水を打ったような静けさに包まれました。

わずか一瞬の沈黙でしたが、堀にとっては数十分の長さに感じられたそうです。

やがてテータムは芝居がかった口調で、

「ミスター・ホリ、君の日本語はよくわかる。
我々は日本語を勉強してくる必要はなかった」
と言い放ったのです。
どっと笑いが起こりました。

三井が、先行する三菱をついに捉え、そして追い抜いた瞬間でした。

なんとディズニーの幹部たちは、翌日の三菱のプレゼンをキャンセルしてしまったのです。

プレゼンというのは、まさにプレゼンターの「熱意」が伝わるかどうかが勝負です。
理屈の説明に終始していたのでは、人の心を動かすことはできません。

ちなみに堀の声は、現在ホーンテッドマンションの
「部屋が伸びているのか、それとも諸君が縮んでいるのか」
という名調子で聞くことができるそうです。

それだけの美声だったことも、勝因のひとつと言えるでしょう。

(予告していた論理バズルは、次回必ず)

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