株式会社ファイブスターズ アカデミー

メリッサ・ベイトソンという女性の心理学者が、イギリスのある会社のドリンク販売コーナーで
一風変わった実験をしました。

このコーナーにはコーヒー、紅茶、ミルクが置いてあります。
そして、目の高さに小さな花の写真と、それぞれの飲み物の値段が張り出してあります。
社員は好きな飲み物をセルフで飲み、代金は自分で料金箱に入れるという方式です。
もちろん監視があるわけではありませんので、払わなくても捕まることはありません。

彼女は、ミルクの売り上げについて、１０週間にわたり調べました。
毎週ほぼ同じ量のミルクが飲まれていましたが、箱の中の金額はかなり違っていました。

１週目は、８週目の約７倍の金額が入っていました。
奇妙なことに、その金額は毎週ジグザグに変動し、
平均すると奇数週は、偶数週の２～３倍の売り上げがあったのです。

実はこれには仕掛けがあり、奇数週に関しては、目の高さに貼ってある写真が花の写真ではなく、
こちらを見つめている両目だけをクローズアップした写真になっていました。

「人間は誰かに見つめられていると思うと正直になる」と解釈したくなるのですが、
そうではありません。
写真が週ごとに取り換えられていたことは、なんと社員の誰一人気づいていなかったのです。

つまり、スポットライトが当たっていないため、意識に上ることはなかったにも関わらず
潜在意識にはしっかりと訴えていたために、行動が変化していたと考えられます。

最近、児童犯罪防止のために、歌舞伎役者のような両目のクローズアップポスターが
貼られているのをよく見ますが、まさにこの効果を狙ったものです。