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5☆s 講師ブログ

10勝158敗

このブログで、日銀の政策の問題点を指摘してきました。
しかし、みなさんの中には、
「詳しくはわからないが、日銀だって精一杯やっているはずだ。
金融政策というのは複雑なので、一概に責任は問えない」
とお思いの方も多いのではないかと思います。

なるほどその通りです。
でも、自民党の安倍総裁が、日銀に対して量的緩和を推し進めるという方針を打ち出した途端、
一気に円安、株高が進みました。
ということで、「詳しくはわからないが、日銀も精一杯やっているはずだ」という考えについて
一度冷静に検証してみる必要がありそうです。

でも、どうやって検証したらいいのでしょう。

一般に、ビジネスでは目標が設定されています。
日銀の目標とは何でしょう。
これは日銀も認めているとおり「物価の安定」です。
では、その目標はどのくらい達成できているのでしょうか。

岩田規久男氏が、「日本銀行 デフレの番人」(日経プレミアシリーズ)で
成績を評価していますのでご紹介しましょう。

まず「物価安定」と言っても、どのくらいの水準ならば安定と言えるのでしょうか。
これは、日銀自身が明確にしています。

2012年2月17日、日本記者クラブでの講演で、白川総裁はこう発言しました。
『消費者物価の前年比上昇率で2%以下のプラスの水準』。
そしてこの文脈の中で、『1%の目途』が提示されたのです。

つまり、その月の消費者物価が、前年に比べて0%~2%のインフレであれば目標達成です。

岩田氏は、新日銀法改正以降の14年間の各月について、
目標が達成できたのか否かを、星取表で表現しています。

ただし、氏は「引き分け」も考えました。
どういうことかと言うと、2%を超えるインフレの月は、基本的に「負け」となってしまいますが、
それは石油価格の上昇等が主たる原因であるため、
日銀の政策の失敗とするのは酷だろうということです。

さて、星取表の結果ですが、総合消費者物価で判定すると、41勝124敗です。
勝率にすると、24%です。 
ただし、勝ちの月も、ほとんどは石油価格の高騰等により達成できたものです。

そこで、エネルギーと食料品を除いた、コアインフレ率で調べてみます。
ちなみに、日銀では、食料品だけを除いたものをコアインフレ率と呼び、
さらにエネルギーも除いたものは、コアコアインフレ率と呼びます。
ここでは、あくまで世界標準の方である、両方を除いた概念を使います。

結果を見てみましょう。
なんとなんと10勝158敗で、勝率はわずか6%です。

でも、この結果をもってして、白川総裁の責任を追及するのは酷です。
なぜなら、白川総裁が就任する以前の期間も含まれているからです。

そこで、白川総裁が就任した08年4月以降のコアインフレ率で調べてみましょう。
残念ながら4勝44敗で勝率は8.3%です。
これが日銀の実績評価です。

しかし、日銀擁護派は、それでもまだ反論します。
「そもそもインフレ率の誘導というのは、大変難しいことなのだ」と。

わかりました。
次回は、アメリカとイギリス、そしてオーストラリアの中央銀行の星取表を見てみましょう。
これがまた、驚きの勝率なのです。

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