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5☆s 講師ブログ

ガラパゴス・ジャーナリズム

沖縄の防衛局長発言と同じで、オフレコが世に出てしまった事案があります。
それは、震災復興担当大臣が地元の首長を訪問した際、
応接室で待たされたことに腹を立て、怒鳴り散らしたというあの事件です。

このとき大臣は、取り囲んだ記者たちを睨みつけて
「いいか、絶対にオフレコだぞ!、もし書いたらその社は終わりだぞ!」とすごんで見せました。

当然のことながら、全メディアが沈黙を守りました。
なぜなら、もし報道してしまったら、終わりになることはないにしても、
今後の取材で相当な報復を受けることが明らかだったからです。

そんな中、勇気を持って報道したのは仙台のテレビ局でした。
震災で被災した一員として、この発言は許せないという判断です。
すると、今度は手のひらを返したように一斉に報道合戦です。

こうなると、メディアで大臣を弁護する人は皆無です。
まるで悪人扱いです。
さっきまでその悪人の行動については、ひたすら沈黙を守っていたくせに・・・

報復が予想されるときは報道しない。
オフレコという約束ならばどんな暴言も報道しない。
しかし、誰かがいったん報道してしまうと、今度は正義面して徹底的にたたく。
これこそ、日本特有のガラパゴス・ジャーナリスムです。

そもそもアメリカでは、オフレコなどという概念はありません。
すべての人は、自分の発言に責任を持たなければなりません。
日本のように「外務省筋」とか、「政府高官」などというあいまいな表現はあり得ないのです。
ですので、記事にする記者もまた匿名ということはあり得ません。
どんな小さな記事でも、すべて自分の名前を署名しなければなりません。

ベトナム戦争時代のワシントン・ポスト紙に、こんな逸話が残されています。
当時の国務長官キッシンジャーが、記者にある重要な機密情報を打ち明けました。
しかし記事にするには、ひとつの条件がついていました。
それは、「絶対にニュースソースは明らかにしてはいけない」ということでした。

当時の編集主幹のブラッドリーも、大スクープなのでぜひ記事にしたいと思いましたが、
当紙はすでに、誰から提供された情報なのか、特に公人の場合は
必ず明らかにしなければならないというルールがありました。

記者はキッシンジャーに交渉に赴きましたが、逆ギレされる始末。
しかし、彼は粘りに粘って「政府高官」というクレジットならOKというところまでこぎつけました。
ところが、ブラッドリーはそれでも納得できず、今度は直接交渉を始めましたが、
条件が変わるはずがありません。

ついにブラッドリーは、「政府高官」というクレジットで記事にせざるを得ませんでした。
当然キッシンジャーの名前は全く出てきません。
しかし、その記事には1枚の写真が掲載されており、「政府高官」というキャプションでしたが
それは国民がよく知っているキッシンジャーのものだったのです。
これがアメリカのジャーナリズムです。

日本との差異はどこにあるのか、私なりに考えてみました。
やはりジャーナリストとしての「信念」の違いと言うしかないように思えるのですが、
みなさんはいかがお考えですか?

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