株式会社ファイブスターズ アカデミー

今まで、財政赤字を恐れるなと繰り返し主張してきました。

なぜなら、発行した国債のほとんどが国内で消化されているので、返済期限については融通がきくからということでした。

でも、このまま膨らみ続ける財政赤字を放って置くわけには行きません。
いつかは、決着をつけなければならないことは明白です。

ただ、忘れてならないのは、景気が回復すれば税収が増えるということです。
だから、財政健全化を急ぐあまり、景気回復よりもそれを優先するということは絶対にあってはならないことです。

しかし、景気については、上向く気配どころか世界同時株安で先行きが心配される事態となりました。
もし、景気にそれほど影響を及ぼさずに、税収を増やすことができれば、こんないいことはありません。

そんな方法ってあるのでしょうか？
あります。
それは、「金持ち優遇税制」をやめることです。

以前にもお話しましたが、日本の所得税率の累進性は、ここ１０数年でかなり弱まりました。
つまり、かつては所得の高い人ほど非常に高い税金を納めていましたが、現在はそれほどでもないということです。
これにより、高額所得者の保有資産は一気に増えました。

しかし、一方で格差はますます広がり、国民の大多数は所得が増えないため、財布のヒモを固くして生活防衛に躍起となっているのです。

だから消費も増えません。
消費も増えないからますますデフレになっていきます。
つまり、景気が悪くなっていきます。

今、増税しても景気に影響が出ないのは、この高額所得者や富裕層への課税です。
そして、これにより増えた税収を、社会保障などの弱者救済対策に使えば、格差是正にもつながります。

経済のグローバル化は、「勝ち組、負け組み」という言葉をもたらしました。
しかし、格差を助長することが、グローバル化の意味するところだったわけではありません。

スティグリッツは「スティグリッツ教授の経済教室」藪下史郎監訳（ダイヤモンド社）の中でこう述べています。

「経済理論が示唆しているのは、グローバリゼーションによって皆が勝者になるということではなく、経済全体としてはプラスになり、したがって勝者は敗者の損失を補填してもなお余りある利益を手にすることができる、ということだ」

さすがノーベル賞を受賞しただけあって、見識の高さがうかがえますよね。